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ニューズレター
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<目次>
1. はじめに
2. 登録の流れ等
3. 登録申請書の記載等について
4. 添付書類の記載等について
5. 第二種金融商品取引業の業務に関する社内規則
6. 主な登録拒否要件について
7. 最後に

本ニューズレターは、掲載時点までに入手した情報に基づいて執筆したものであり、また具体的な案件についての法的助言を行うものではないことにご留意ください。また、本ニューズレター中意見にわたる部分は、執筆担当者個人の見解を示すにとどまり、当事務所の見解ではありません。

1. はじめに


 金融商品取引法(以下「法」といいます。)の規定により、一定の要件に該当する集団投資スキーム(ファンド)持分の自己募集・自己私募や出資を受けた財産の自己運用などのファンド関連ビジネスを業としている者に対しては、登録義務が課されています。また、このようなファンド関連ビジネスに関し、信託受益権(典型的には現物不動産を信託財産とする信託受益権)の売買、売買の媒介、私募の取扱い等、又は集団投資スキーム(ファンド)の自己募集・自己私募、募集・私募の取扱い等を行う場合については、第二種金融商品取引業に係る事前の登録が必要であり、各種法令等を遵守し、内部管理体制を整え、投資者の保護を図ることが必要です。
 以下では、主として、これからファンド関連ビジネスを始めようとする法人において必要となる第二種金融商品取引業の登録手続の概要と申請書類作成のポイントについて簡単に説明します。

2. 登録の流れ等

(1) 登録の概要

 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができません。無登録で営業した場合には、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されます。
 なお、登録に関する金融庁長官の権限は、申請者の本店等の所在地を管轄する財務(支)局長に委任されています。

(2) 登録の流れ

① 事前相談

 申請書の提出先に対して、具体的な事業スキームや営業方法、組織体制などを図表等資料により説明し、事前相談を行います。具体的な事前審査の所要期間は、案件により大きく異なりますが、一般的には数ヶ月~1年以上要します。

② 申請書の提出

 登録を受けようとする者は、登録申請書の正本に写し(副本)と必要な書類を添付して、主たる営業所を管轄する財務局・財務事務所に対して提出します。例えば、本店が東京都内に所在する場合には、東京財務事務所理財第8課が提出先となります。申請書の提出部数は、正本1部、副本1部です。

③ 審査

 登録を受けるために特定の国家資格などは必要ありませんが、当該業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人の確保が必要です。登録の申請があった場合、財務(支)局長は、登録拒否要件に該当しない限り登録しなければなりません。

④ 登録・登録済通知書送付

 申請書を提出してから登録を受けるまでの標準処理期間は2か月です。なお、当該期間には、当該申請書を補正するために要する期間(申請書の記載内容や必要な書類に不備や不十分な点がある場合は、申請書は受理されず、書類の不備が訂正されてから正式に受理されることとなります。)や事前相談に要した期間等は含まれていません。

⑤ 苦情処理措置及び紛争解決措置(第二種金融商品取引業協会への加入等)

 現在、特定第二種金融商品取引業務について紛争解決期間としての指定を受けた団体は存在しませんので(指定紛争解決機関一覧:金融庁 (fsa.go.jp))、苦情処理措置及び紛争解決措置を講じることとなります。
 法令上、苦情処理措置及び紛争解決措置として、金融商品取引業協会が行う苦情の解決により金融商品取引業等業務関連苦情の処理を図ること及び同協会のあっせんにより金融商品取引業等業務関連紛争の解決を図ることが規定されているため、第二種金融商品取引業協会に加入している場合には、苦情処理措置及び紛争解決措置を講じたことになります。

⑥ 営業開始

 業務を行うことができることとなった日から3か月以内に正当な理由がないにもかかわらず、業務を開始しないときは、登録を取り消されることがあります。

(3) 費用

 登録申請時に登録免許税15 万円が必要です。納付場所は、日本銀行、日本銀行歳入代理店、日本郵便株式会社の各郵便局及び収納を行う税務署です。登録免許税納付書の税務署名は、登録を受けようとする財務局の所在地を納税地とします。

3. 登録申請書の記載等について

(1) 登録申請書の記載について

 実際の申請書の作成に当たっては、財務局のWebページで公表されている記載上の注意及び申請書記載例(リンクは関東財務局)を参照しつつ、登録申請書様式(WordPDF)に従って記載します。
 登録申請書の具体的な記載事項の概要は以下のとおりです。

(i) 商号、名称又は氏名
(ii) 法人であるときは、資本金の額又は出資の総額
(iii) 法人であるときは、役員の氏名又は名称
(iv) 政令で定める使用人(次に掲げる重要な使用人)があるときは、その者の氏名及び役職名
  (a) 金融商品取引業に関し、法令等を遵守させるための指導に関する業務を統括する者及び統括者の権限を  
    代行し得る地位にある使用人
  (b) 投資助言業務または投資運用業に関し、助言又は運用を行う部門を統括する者及び金融商品の価値等に 
    基づく投資判断を行う使用人(第二種金融商品取引業については該当なし)
(v) 業務の種別
(vi) 法3条各号に掲げる有価証券又は金融商品取引所に上場されていない有価証券(金商法施行令15条の4の2で定めるものを除く。)について、電子募集取扱業務を行う場合にあっては、その旨
(vii) 高速取引行為に関する事項(詳細略)
(viii) 電子記録移転有価証券表示権利等又は当該権利若しくは金融指標(当該権利の価格及び利率等並びにこれらに基づいて算出した数値に限る。)に係るデリバティブ取引についての所定の行為を業として行う場合にあっては、その旨(詳細略)
(ix) 本店その他の営業所又は事務所の名称及び所在地
(x) 他に事業を行っているときは、その事業の種類
(xi) 手続実施基本契約を締結する指定紛争解決機関の商号等並びに加入する金融商品取引業協会及び対象事者となる認定投資者保護団体の名称
(xii) 会員又は取引参加者となる金融商品取引所の名称又は商号
(xiii) 有価証券関連業を行う場合には、その旨
(xiv) 電子取引基盤運営業務を行う場合には、その旨
(xv) 商品関連業務を行う場合には、所定の事項(詳細略)
(xvi) 商品投資関連業務を行う場合には、所定の事項(詳細略)
(xvii) 法194の6第2項各号に掲げる行為(投資事業有限責任組合権利に係る募集・私募、自己運用)を業として行う場合には、その旨
(xviii) 不動産信託受益権等売買等業務を行う場合には、その旨
(xix) 不動産関連特定投資運用業を行う場合には、その旨
(xx) 特定引受行為を行う場合には、その旨
(xxi) 特定有価証券等管理行為を行う場合には、その旨
(xxii) 第二種金融商品取引業に係る業務のうち、令第一条の十二第二号に掲げる行為に係る業務(電子記録移転有価証券表示権利等(電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値に表示される場合に限り、電子記録移転権利を除く。)の預託を受ける業務)を行う場合には、その旨
(xxiii) 本店等の名称及び所在地

(2) 登録申請書の記載のポイント

① 重要な使用人

 「重要な使用人」として登録対象となる「法令等を遵守させるための指導に関する業務を統括する者その他これに準じる者として内閣府令で定める者(※)」は、個別事例ごとに実態に即して実質的に判断されるべきものとされておりますが、日本証券業協会規則で定める「内部管理統括責任者」は基本的には「法令等を遵守させるための指導に関する業務を統括する者」に該当し、「使用人」であれば登録申請書に記載すべき「重要な使用人」に該当するものと考えられています。なお、「内部管理統括責任者」でない者であっても、実質的に「重要な使用人」の定義に該当すると認められる場合には、「重要な使用人」に該当します。
 「(統括者の権限を)代行し得る地位にある者」と日本証券業協会規則で定める「内部管理統括補助責任者」との関係につきましても、同様です。
 なお、使用人兼取締役が「重要な使用人」の定義に該当する場合には、役員欄のみならず、「重要な使用人」の欄にも当該使用人兼取締役の氏名等を記載する必要があります。

 (※)「部長、次長、課長その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、同号に規定する業務を統括する    
   者の権限を代行し得る地位にある者」をいう。

② 「不動産信託受益権等売買等業務」及び「不動産関連特定投資運用業」の定義における「宅地若しくは建物に係る不動産信託受益権」の意味

 個別事例ごとに実態に即して実質的に判断されるべきものとされていますが、例えば、信託財産として、宅地及び建物のほかそれらに付随する賃借権等が含まれている場合や信託財産の一部に宅地・建物に付随する「敷金等の金銭」や「建物付属の動産」が含まれている場合であっても、「不動産信託受益権」に含まれ得るものと考えられています。
 他方で、主たる信託財産が不動産ではないような信託の受益権は、「不動産信託受益権」の範囲に含まれません。

4. 添付書類の記載等について

(1) 添付書類について

 添付書類についても、財務局のWebページにおいて公表されている添付書類記載例(リンクは関東財務局)を参照のうえ作成することになります。
 具体的に作成が必要となる添付書類の概要は以下のとおりです。

(i) 登録拒否要件に該当しないことを誓約する書面
(ii) 業務方法書(業務の内容及び方法として、以下の事項を記載した書類)
 (a) 業務運営に関する基本原則
 (b) 業務執行の方法
 (c) 業務分掌の方法
 (d) 業として行う金融商品取引行為の種類
 (e) 苦情の解決のための体制
 (f) 取り扱う有価証券及び業として行うデリバティブ取引の種類
 (g) 法2条2項1号又は2号に掲げる権利(信託受益権等)を取り扱うときは、当該権利に係る信託財産の種類
 (h) 法2条2項5号又は6号に掲げる権利(集団投資スキーム持分等)を取り扱うときは、当該権利に係る出資  対象事業の概要
 (i) 法第29条の5第2項に規定する業務(みなし第二種金融商品取引業)を行う場合には、その旨
 (j) 電子記録移転有価証券表示権利等(電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値に表示される場合に限り、電子記録移転権利を除く。)の預託を受ける業務を行う場合には、法43条の2及び43条の3の規定による管理の方法
 (k) 電子募集取扱業務(法3条各号に掲げる有価証券又は金融商品取引所に上場されていない有価証券(令15条の4の2各号に掲げるものを除く。)について行うものに限る。)を行う場合には、次に掲げる事項
  a) 取り扱う有価証券の種類
  b) 第二種金融商品取引業のうち第二種少額電子募集取扱業務のみを行う場合には、その旨
  c) 電子申込型電子募集取扱業務を行う場合には、その旨
 (l) 金融商品取引業として高速取引行為を行う場合には、所定の事項(詳細略)
 (m) 暗号等資産又は金融指標(暗号等資産の価格及び利率等並びにこれらに基づいて算出した数値に限る。)に係るデリバティブ取引についての所定の行為を業として行う場合には、所定の行為の区分に応じたデリバティブ取引に係る暗号等資産及び金融指標の名称(詳細略)
(iii) その他以下の書類
 (a) 業務に係る人的構成及び組織等の業務執行体制を記載した書面
 (b) 法人であるときは、次に掲げる書類
  a) 役員及び重要な使用人の履歴書
  b) 役員及び重要な使用人の住民票の抄本(役員が法人であるときは、当該役員の登記事項証明書)又はこれに代わる書面
  c) 役員及び重要な使用人の旧氏及び名を当該役員及び重要な使用人の氏名に併せて法29条の2第1項の登録申請書に記載した場合において、b)に掲げる書類が当該役員及び重要な使用人の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面
  d) 役員及び重要な使用人が法29条の4第1項第2号イ及びロの登録拒否要件に該当しない旨の官公署の証明書又はこれに代わる書面
  e) 役員及び重要な使用人が法29条の4第1項第2号ハからリまでの登録拒否要件のいずれにも該当しない者 であることを当該役員及び重要な使用人が誓約する書面
 (c) 特定関係者(親法人等、子法人等及び持株会社をいう。)の状況として次に掲げる事項を記載した書類
  a) 商号又は名称
  b) 資本金の額、基金の総額又は出資の総額
  c) 本店又は主たる事務所の所在地
  d) 事業の種類
  e) 登録申請者と特定関係者との間の資本関係、人的関係及び最近1年間の業務上の関係
  f) 親法人等、子法人等又は持株会社のいずれに該当するかの別
 (d) 金融商品取引業協会(第二種金融商品取引業の場合は第二種金融商品取引業協会。)に加入しないときは、第二種金融商品取引業の業務に関する社内規則
 (e) 競走用馬に係る商品投資関連業務を行う場合には、金商業等府令13条3号に掲げる基準に該当しないことを証する書面
 (f) 不動産信託受益権等売買等業務を行う場合には、金商業等府令13条4号に掲げる基準に該当しないことを証する書面
 (g) 不動産関連特定投資運用業を行う場合における業務遂行能力に関する事項を記載した書面
 (h) 金融商品取引業として高速取引行為を行う場合には、所定の書類(詳細略)
 (i) 暗号等資産又は金融指標(暗号等資産の価格及び利率等並びにこれらに基づいて算出した数値に限る。)に係るデリバティブ取引について所定の行為をする場合には、暗号等資産及び金融指標の概要を説明した書類(詳細略)
 (j) 定款、登記事項証明書、最終の貸借対照表(関連する注記を含む。)及び損益計算書(関連する注記を含む。)

(2) 業務方法書の記載のポイント

 業務方法書は、行おうとする第二種金融商品取引業の内容及び方法を説明する書類で、添付書類の中でも非常に重要なものです。
 具体的にどのような記載を行うべきであるかについて、法令に具体的な記載はありませんので、財務局が公開する記載例を参照するとともに、パブリックコメントや監督指針を手掛かりにすることとなります。
 業務方法書に記載すべき事項のうち主なもの及びその記載のポイントは以下のとおりです。

① 業務運営に関する基本原則

 「業務運営に関する基本原則」としては業務運営に当たっての基本的な考え方等を記載します。
 具体的には、業務の効率性と適法性を確保するための業務運営の体制を確保することや、法令を遵守して業務を行うこと等を記載し、社内の業務遂行に関する基本原則を記載します。

② 業務執行の方法

 「業務執行の方法」としては 各種業務をどの部門がどのような手続で行うか等を記載します。
 どの部門においてどのような方法で顧客の勧誘等を行うのか、業務に関する書面等はどのように作成するのか、委託先等はどのように管理するのかなど第二種金融商品取引業務を行う部門等における業務の執行体制、顧客勧誘等に際し、どのような体制で行うのかについて記載します。
 社内規則を作成し業務方法書に添付することが一般的です。

③ 業務分掌の方法

 「業務分掌の方法」としては、②の業務について、担当する部署や責任者、役職ごとの業務分担や役割等について記載します。
 組織規程や業務分掌規程を作成し業務方法書に添付することが一般的です。分かりやすく作成するために、組織図を添付することが望ましいです。

④ 業として行う金融商品取引行為の種類

 「業として行う金融商品取引行為の種類」としては、法第2条第8項各号に掲げる行為のうち登録申請者が業として行おうとするものを記載しす。
 具体的には、例えば、「法第2条第2項第1号に掲げる信託の受益権の売買、売買の媒介及び私募の取扱い(法第2条第8項第1号、第2号及び第9号に掲げる行為をいう。)」というように記載します。

⑤ 苦情の解決のための体制

 「苦情の解決のための体制」としては、顧客の苦情に対応する部門等を記載します。

⑥ 取り扱う有価証券及び業として行うデリバティブ取引の種類

 登録申請者ごとの個別の事情にも応じて、その行おうとする業務の内容が的確に記載されていることが必要であり、具体的には以下のような記載になります。
 「取り扱う有価証券…の種類」としては、例えば、法第2条第2項各号の権利(みなし有価証券)のうち、登録申請者が取り扱おうとするものを記載します。
 「業として行うデリバティブ取引の種類」については、例えば、登録申請者が行おうとする取引の類型及び金融商品・金融指標を記載します。
 取り扱う予定の有価証券だけを記載し、将来的に取り扱うかもしれないという程度の有価証券は記載しないこととされています。

⑦ 信託財産の種類

 「(取り扱う信託受益権)に係る信託財産の種類」としては、例えば、金銭、有価証券、その他の権利、商品及び不動産といった分類ごとにその内容を記載することが考えられますが、これにとどまらず、登録申請者ごとの個別の事情にも応じて、その行おうとする業務の内容が的確に記載されていることが必要です。
 具体的には、例えば、不動産の信託受益権を取り扱う場合には、⑥の内容として「法第2条第2項第1号に掲げる信託の受益権」と記載し、⑦の内容として、「土地及びその定着物」、「地上権」、「土地及びその定着物の賃借権」及びそれらに付随する金銭債権等を列挙することが考えられます。

(3) 業務に係る人的構成及び組織等の業務執行体制を記載した書面の記載のポイント

 財務局が公開する記載例(リンクは関東財務局)を参照して作成することになります。
 組織図を記載し、行う業務に係る部署名、責任者名、役職名、人数、業務内容(業務分掌)をそれぞれ記載し、業務内容については、業務方法書に記載した内容と齟齬がないように記載することが必要です。
 また、「経営者の経歴、能力等の経営資質の十分性」、「役員の法規制、経営管理等の知識・経験及びコンプライアンス、リスク管理に関する知識・経験の十分性」、「コンプライアンス担当者として知識及び経験を有する者」について、役員・重要な使用人等の経歴・能力・資格等を記載します。
 作成に際しては、法令及び総合的監督指針等の審査基準に留意する必要があります。法令及び総合的監督指針の内容を踏まえると、暴力団又は暴力団員との関係や過去の犯罪事実により金融商品取引業の信用を失墜させるおそれがないこと等のほか、その行う業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人の確保の状況及び組織体制として、以下の事項に照らし、当該業務を適正に遂行することができると認められるかを意識する必要があります。
 ・(i) 経営者が、その経歴及び能力等に照らして、金融商品取引業者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる十分な資質を有していること。
 ・(ii) 常務に従事する役員が、金商法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。
 ・(iii) 行おうとする業務の適確な遂行に必要な人員が各部門に配置され、内部管理等の責任者が適正に配置される組織体制、人員構成にあること。
 ・(iv) 営業部門とは独立してコンプライアンス部門(担当者)が設置され、その担当者として知識及び経験を有する者が確保されていること。
 ・(v) 行おうとする業務について、次に掲げる体制整備が可能な要員の確保が図られていること。
   (a) 帳簿書類・報告書等の作成、管理
   (b) ディスクロージャー
   (c) リスク管理
   (d) 電算システム管理
   (e) 売買管理、顧客管理
   (f) 広告審査
   (g) 顧客情報管理
   (h) 苦情・トラブル処理
   (i) 内部監査
 また、不動産信託受益権等売買等業務を行う場合について宅地又は建物の取引に関する専門的知識及び経験を有する役員又は使用人を不動産信託受益権等売買等業務の統括に係る部門、内部監査に係る部門及び法令等を遵守させるための指導に関する業務に係る部門にそれぞれ配置していることが求められます。

 

5. 第二種金融商品取引業の業務に関する社内規則

 第二種金融商品取引業協会に加入する場合については、苦情・紛争処理、顧客管理、取引時確認、反社会的勢力対応、コンプライアンス、金融商品事故等処理、従業員服務、広告、研修、内部者取引・法人関係情報、情報管理、顧客資産の分別管理、適合性の原則等の遵守などに関する規程を作成し、第二種金融商品取引業協会の事務局に提出する必要があります。
 他方で、第二種金融商品取引業協会に加入しない場合には、以下に掲げる第二種金融商品取引業協会の規則に準ずる内容の社内規則を作成して、その社内規則を遵守するための体制を整備する必要があります。
  (i) 広告等の表示及び景品類の提供に関する規則
  (ii) 投資勧誘及び顧客管理等に関する規則
  (iii) 第二種業内部管理統括責任者等に関する規則
  (iv) 反社会的勢力との関係遮断に関する規則
  (v) 個人情報の保護に関する指針

6. 主な登録拒否要件について

 第二種金融商品取引業の登録を受けようとする者が、①登録拒否要件に該当するとき、又は②登録申請書若しくはその添付書類の内容に虚偽の記載や記録があり、若しくは重要な記載や記録が欠けている場合には、登録は拒否されます。登録を受けようとする者は、以下の登録拒否事由に留意する必要があります。

 主な登録拒否要件は以下のとおりです。
  (i) 金融商品取引業者等に係る登録・許可等を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
  (ii) 金融商品取引業者等に係る登録・許可等の取消しに係る行政手続法15条の規定による通知があった日執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  (iv) 他に行う事業が公益に反すると認められる者
  (v) 金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者
  (vi) 金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者
  (vii) 法人である登録申請者の役員 または重要な使用人のうち所定の事項(破産手続き開始決定を受けている者、一定の刑に処せられた者等)に該当する者のある者(詳細略)
  (viii) 資本金の額又は出資の総額が、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める  額(第二種金融商品取引業を行おうとする場合は1,000万円)に満たない者
  (ix) 国内に営業所又は事務所を有しない者
  (x) 外国法人であって国内における代表者を定めていない者
  (xi) 協会(第二種金融商品取引業の場合は第二種金融商品取引業協会)に加入しない者であって、協会の定款その他の規則に準ずる内容の社内規則を作成していない者又は当該社内規則を遵守するための体制を整備していない者
  (xii)高速取引行為を行おうとする場合(第一種金融商品取引業又は投資運用業を行い、又は行おうとする場合を除く。)にあっては、純財産の額が0未満である者

7. 最後に

 これまで述べてきたとおり、第二種金融商品取引業の登録には、多数の書面作成や財務局とのやり取りが必要となるため、実際の登録申請の際には法律専門家に相談するなどした上で慎重に行う必要があります。

以上