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事務所概要・アクセス
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<目次>
1. 商事法
2. 民事法・民事手続法
3. 労働法
4. 知的財産法
5. 独占禁止法
裁判所ウェブサイトや法務雑誌等で公表された最近の裁判例の中で、企業法務の観点から注目される主な裁判例を紹介します(2024年11月・12月)。
東京地決令和6年8月8日(ジーネクスト新株等発行差止請求事件)(下記1(1))は、顧客対応システムのY社が取締役会で決議したA社に対する新株及び新株予約権の発行(本件新株等発行)につき、Y社の創業者・筆頭株主で元代表取締役であるXが、その差止を求める仮処分申立を行った事案です。東京地裁は、いわゆる主要目的ルールを適用し、Y社が非常に厳しい財務状況・経営状況にあったこと、本件新株等発行による資金調達が必要性・緊急性・合理性を有していること等を認定したうえ、本件新株等発行は不当な目的を達成するための手段として利用される場合には当たらず、不公正発行に該当しないとして、Xの申立を却下しました。
東京高判令和6年6月5日(株主総会決議取消に関する事件)(下記1(4))は、Y社の従業員持株会Xらが、Y社株主総会の招集手続が著しく不公正であるなどとして、総会決議の取消などを求めた事案です。論点は多岐にわたりますが、特に、過去の総会議事録記載の開催場所(千葉県)と著しく離れた場所(大分市)で総会が開催されたことにつき、東京高裁は、招集通知に新型コロナウィルスの感染拡大状況等の諸事情も含め株主の大半が所在する九州地区で開催する旨記載されていること、従前から毎年大分県等において事実上株主総会を補完する九州地区総会が開催されてきたこと、上記開催場所(大分市)がY社株主に不利益を及ぼした事情もうかがわれないことなどを認定したうえ、総会招集の手続が著しく不公正なものとはいえないとし、Xらの請求を棄却しました。
大阪高判令和6年5月16日(住友生命保険(費用負担)事件)(下記3(2))は、住友生命(Y社)の営業職員Xが、Y社に対し、Y社がXの賃金から業務上の経費を控除したことが賃金全額払いの原則(労基法24条1項)に違反するなどとして、平成24年10月分以降の控除相当額の金員の支払等を求めた事案です。大阪高裁は、営業活動にかかる経費全般を労働者負担とする合意について、入社前の研修で説明があり、同趣旨の文章が記載された「勤務のしおり」が配布されたこと、労働者の異議がなかったことから、当該合意の成立を認めたうえ、一定の裁量性のある労働者について、経費を負担する旨の合意も許容されること、経費負担額が年収の5%以下であり過大な負担ではないこと等を認定し、XがY社に対し賃金からの控除に明示的に合意できない旨通知した平成31年1月分以降の賃金からの控除分に限り、Xの請求を認めました。
東京高判令和6年5月31日(段ボール製品価格カルテル事件)(下記5(1))は、公正取引委員会が、Xらを含む段ボール製造業者が、共同して、段ボールシート等の販売価格を引き上げる旨の合意をすることにより競争を実質的に制限した行為が独禁法の禁止する不当な取引制限に該当するとして、Xらに対し、排除措置命令及び課徴金納付命令を発したのに対し、Xらが、これらの命令の取消を請求した事案です。東京高裁は、複数事業者が対価を引き上げるに当たって、相互の間に「意思の連絡」があったと認められるには、事業者相互で拘束し合うことを明示して合意する必要はなく、相互に他の事業者の対価引上げ行為を認識して、暗黙のうちに認容することで足りる等と判示し、Xらの請求を棄却しました。
ジーネクストの増資・株主総会をめぐる新株等発行差止仮処分申立て、株主等データ引渡しの仮処分申立ておよび株主総会開催禁止仮処分の申立て
被告の株主であり、会長職の立場にあった原告が、被告に対し、被告の取締役会決議には招集手続違反等の瑕疵があったと主張して、令和5年3月24日開催の取締役会決議における、Aを被告の取締役会の議長に選任する旨の決議、及び、B、C及びDを被告の指名・報酬諮問委員会の委員に選任する旨の決議、並びに、令和5年3月28日開催の取締役会決議における、原告を被告の会長職から解職すると共に原告と被告との間の一切の契約を解除する旨の決議が無効であることの確認を求め、さらに、原告に会長職としての業務を委託する旨の委任契約の解除は無効であると主張して、同委任契約に基づく令和5年4ないし6月分の報酬及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案
1 クリエイティブ・ディレクション業務についての取締役の競業避止義務違反を認めた事例
2 取締役の解任に係る株主総会決議が存在せず、当該取締役が任期満了後に権利義務取締役の地位にあるとした上で、後任の取締役の就任までの間の役員報酬請求を認めた事例
招集の手続または決議の方法が法令または定款に違反しているとはいえず、招集の手続が著しく不公正であるともいえないとされた事例
1 地方公共団体が公衆浴場として相当年数使用した温泉施設等を民間事業者に無償で譲渡した後、浴室天井の落下等が生じた場合において、瑕疵担保責任を生じさせる瑕疵はないとされた事例
2 地方公共団体が公衆浴場として相当年数使用した温泉施設等を民間事業者に譲渡した際に、施設の設備の修繕状況等についての説明義務を負っていたとはいえないとされた事例
フォークリフト運転者が、段ボールを回収運搬するにあたり、大量の段ボールが堆積する物流倉庫内においてフォークリフトの前進・後退を繰り返し、高温となった排気管と段ボールが接触して発火したことから発生した火災事故についてフォークリフト運転者に過失が肯定された事例(過失相殺)
ファッションブランドのフランチャイズ契約が更新されたとは認められず、更新拒絶に至る交渉においてもフランチャイザーの不法行為が認められないとされた事例
過去にモデル等として芸能活動に携わっていた者の肖像写真を掲載するとともに芸名を記載した電子書籍をウェブサイトで販売した行為につき、肖像権及び氏名権侵害に係る不法行為の成立が否定された事例
旧労契法20条は、正社員の労働条件を切り下げることで不合理な待遇差を解消することを直ちには否定していない
業務上の経費分の賃金控除の労基法24条1項違反該当性
出来高払制の業績給の有効性等
吸収合併後の再雇用契約更新の成否
破棄された労働時間等管理文書に対する文書提出命令
従業員が使用者(法人)の業務として不動産取引を仲介する際、本来使用者に帰属すべき利益を私的に得たことが労働契約上の誠実義務に違反するなどとして、使用者の元従業員等に対する損害賠償請求を認容した事例
1 絵柄を商品化したタオルについて、絵柄を除くタオル部分には、それ自体独立して美術鑑賞の対象となる創作性を備えているものとはいえないとして、応用美術としての著作物性が否定された事例
2 著作権者がその著作物に係る実施料のみを得ている場合における著作権法114条2項の適用又は類推適用の可否
段ボールシート等に係る価格カルテルに対する排除措置命令および課徴金納付命令の取消請求を棄却した審決を是認し、同請求を棄却した事例〔①事件、②事件〕
以上