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事務所概要・アクセス
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(効果)買主による追完請求権(目的物修補、代替物の引渡し、不足分の引渡し)が明確に規定されました。
(要件)売主の帰責事由は不要ですが、買主に帰責事由がある場合、請求できません。なお、買主に「不相当な負担」を課すものでない場合、売主からの追完内容の変更が可能です。
(効果)現行法では他人の権利の一部不移転、数量不足及び一部滅失の場合にのみ規定されていますが、改正法ではこれらの場合に限られません。「不適合の程度に応じて」代金減額請求が可能となります。
(要件)売主の帰責事由は不要ですが、買主に帰責事由がある場合、請求できません。また、相当期間を定めて追完を催告後、追完されず相当期間が経過することが必要ですが、追完不能の場合、明確な追完拒絶があった場合、定期行為における履行遅滞の場合、追完の期待不可能の場合は催告が不要です。
(要件)売主(債務者)の帰責事由は不要[4]ですが、買主(債権者)に帰責事由がある場合、請求できません。現行法と異なり、売買目的が達成できる場合でも解除可能となります。「隠れた」(買主の善意無過失)を要件とはしていません[5]。
催告することが必要ですが、定期行為における履行遅滞の場合、契約目的達成の期待不可能等の場合は催告が不要です。但し、催告期間の経過時に債務の不履行が軽微であるときは行使できません。
(効果)損害は、いわゆる「信頼利益」に限られません。
(要件)売主(債務者)は自己に帰責事由がないことを抗弁として主張できます。
改正法は、(i)とは別に、移転した権利の内容が契約の内容に適合しない場合を規定しますが、この場合も(i)(a)ないし(d)が準用されます。
(内容)現行法では他人の権利の一部不移転、数量不足・一部滅失、用益権による制限、隠れた瑕疵の場合にのみ規定されています。改正法では、物の種類・品質に関する契約不適合の場合に限り権利行使の期間制限が規定されています。買主は、契約不適合を「知って」から1年以内に売主に「通知」しなければ権利を行使できません[7](但し、売主が悪意・重過失の場合を除きます。)。
(注意)数量に関する契約不適合、権利移転面での契約不適合の場合は特別の期間制限はありません。これらの場合は、債権の消滅時効に関する一般原則(知った時から5年、行使可能時から10年)によります。
以 上
[1] 契約責任説への転換について、法制審議会民法(債権関係)部会の資料75A・8頁以下は、「移転すべき権利に瑕疵があった場合の規律」、「目的物の性状等に関する売主の責任の在り方については」、「・・・債務不履行の一般原則との関係が明確ではなく、理論的にも法定責任説と契約責任説が対立するなど、規定内容の理解が困難・・・」、「法的責任説の考え方は非常に硬直的であり、工業製品が目的物の中心となっている現代の取引実務に適合しない」、「売主の義務としては、目的物が不特定物か特定物かを問わず、契約の趣旨に適合した目的物を引き渡す義務を負っているとするのが適切」であると述べている。また、潮見佳男「売買・請負の担保責任」(NBL No.1045(2015・3・1)7頁以下では、「売買契約において、・・・売主は・・・契約に適合しない給付であることのリスクを引き受けている-したがって、売主が契約の内容に適合しない給付をしたときには、契約上の債務の不履行となる-と考えるのが契約に基づくリスク分配という点で適切である」と述べている。
[2] 現行法では、数量不足・一部滅失の場合(現565条)、隠れた瑕疵ある場合(現570条)に対応
[3] 現行法では他人の権利の一部不移転、数量不足及び一部滅失の場合にのみ規定
[4] 解除について債務者の帰責事由は要件とはならない。解除制度を、債務者に対する責任追及手段ではなく、債務の履行を得られなかった債権者を契約の拘束力から解放する制度として捉えており、従来の伝統的学説から変わっている。
[5] 過失ある買主の救済を否定することは酷であること、買主の過失は過失相殺で考慮する方が事案の弾力的な解決に資すること、当事者が瑕疵を知っていて締結しても、修補請求による解決が相当な事案もあること等による(部会資料75A・18頁等)。
[6] 期間制限の規定の趣旨は、目的物の引渡後は履行が終了したとの期待が売主に生じることから、このような売主の期待を保護する必要があること、物の瑕疵の有無は目的物の使用や時間経過による劣化等により比較的短期間で判断が困難となることから、短期の期間制限を設けて法律関係を早期に安定化する必要があるとの趣旨である。
[7] 最判平成4年10月20日判タ802号105頁は、「・・・具体的な瑕疵の内容、請求する損害額の算定の根拠を示して、損害賠償請求する旨を表明して、・・・瑕疵担保責任を問う意思を明確に告げる必要がある」と判示し、数量不足の場合を定める民法564条の除斥期間に関する最判平成13・2・22判時1745号85頁は、「買主が売主に対し担保責任を追及し得る程度に確実な事実関係を認識したことを要する」としている。瑕疵の内容や損害賠償を請求する旨の表明等を要するというこの判例と比べて、1年の期間が容易に経過することになっている。なお、商事売買について商法526条に留意が必要。
[8] マンション売買において、防火戸が作動しない状態で引き渡されたことについて、買主が売主に対し損害賠償を請求した事案(最判平成17年9月16日、判タ1192号256頁)。防火扉の電源スイッチが切れ作動しない状態で引き渡された点につき、1審は「瑕疵」を否定し、2審は肯定した。最判(破棄差戻し)は、売主及びその販売代理人である宅建業者に、防火扉の操作方法等について説明すべき(付随義務又は信義則上の)義務を認めた。なお、説明義務について、「ある物の利用に関して必須となるような、例えば使用説明・・・に関しては、物と使用説明が一体をなして性状を形成しているときは、場合によっては、性状が契約不適合といえることもあり得る、・・・それは解釈上の問題が残る」との指摘がある(部会第84回会議議事録18、19頁)。
[9] 青山大樹編著「民法改正の要点と企業法務への影響」中央経済社247頁以下等参照
[10] 潮見佳男「表明保証と債権法改正論」銀行法務21・No.719、20頁以下参照
[11] 部会資料75A・15頁以下参照。代金減額の割合の算定基準時(契約時、履行期、引渡時等)については、引渡時説が有力(国際物品売買契約に関する国際連合条約(CISG)50条等参照)