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事務所概要・アクセス
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<目次>
1.はじめに
2.最終規則の主な内容
(1)自動意思決定技術(ADMT)
(2)サイバーセキュリティ監査
(3)リスク評価
3.その他の改正
(1)個人情報の形式
(2)神経データ
(3)合併時のデータ移転
(4)オプトアウト・プリファレンス・シグナル
2025年9月23日、カリフォルニア州プライバシー保護局(CPPA:California Privacy Protection Agency)が提案した最終規則が承認されました。本規則は、自動意思決定技術(ADMT)、プライバシーリスク評価、サイバーセキュリティ監査等に関する内容を定めるものです。これらの内容は企業に新たな義務を課すものであり、その他の2025年に施行され、または成立したCCPA規則と併せて、実務に大きな影響を及ぼすと考えられます。
最終規則の主な内容は、以下の3点です。
ADMT(automated decisionmaking technology)とは、個人情報を処理し、計算を用いて人間の意思決定を代替または実質的に代替する技術をいいます(§7001(e))。
事業者は、2027年1月1日までに以下の事項を実施しなければならないとされています。
①重要な決定にADMTを使用する場合、消費者のオプトアウト権とアクセス権を含む特定の事項を含む使用前通知(Pre-use Notice)を消費者に提供しなければならない。
②一定の例外を除き、消費者がADMTの使用からオプトアウトするための手段を提供する。
③ADMTに関する消費者のアクセス要求に応じる。
対象となる事業者は、独立した専門家によるサイバーセキュリティ監査を実施し、毎年CPPAに監査報告書を提出しなければならないとされています。
対象事業者は、①前暦年の年間売上の50%以上が個人情報の販売・共有によるものである事業者、又は②前暦年における年間総売上が2,500万ドル超であり、かつ個人情報の処理件数が25万件以上であるか、若しくはセンシティブ個人情報の処理件数が5万件以上である事業者とされています(§1720(b))。
CPPAへの初回の監査報告書の提出期限は、年間総売上の規模に応じて以下のとおりとされています。
・2026年の年間総売上1億ドル超:2028年4月1日(監査対象期間は2027年1月1日から2028年1月1日)
・2027年の年間総売上5,000万~1億ドル:2029年4月1日(監査対象期間は2028年1月1日から2029年1月1日)
・2028年の年間総売上5,000万ドル未満:2030年4月1日(監査対象期間は2029年1月1日から2030年1月1日)
個人情報処理が「重大なプライバシーリスク」を伴う場合、事業者はリスク評価の実施が必要とされています。
「重大なプライバシーリスク」を伴う場合とは、以下の場合をいいます(§7150(b))。
①個人情報の販売または共有
②センシティブ個人情報の処理(ただし、事業者が自己の従業員又は独立契約者のセンシティブ個人情報を、報酬支払いの管理、就労資格の判断および保管、雇用給付の管理、法令に基づく合理的配慮の提供、または法令に基づく賃金報告の目的のみに利用する場合を除く)
③消費者に関する重要な決定にADMTを使用すること
④ADMTを使用して、教育プログラム応募者、求職者、学生、従業員、または事業者の独立契約者として行動している消費者を体系的に観察し、その観察に基づいて消費者の知能、能力、適性、職務遂行、経済状況、健康(精神的健康を含む)、個人的嗜好、興味、信頼性、傾向、行動、所在地、または移動を推測または推定すること
⑤ADMTを使用して、消費者が機微な場所(sensitive location)に存在していることに基づき、当該消費者の知能、能力、適性、職務遂行、経済状況、健康(精神的健康を含む)、個人的嗜好、興味、信頼性、傾向、行動、または移動を推測または推定すること
⑥消費者に関する重要な決定のために使用するADMTを訓練する目的で、または顔認識・感情認識・その他の技術であって消費者の本人確認、または身体的もしくは生物学的な識別・プロファイリングを行う技術を訓練する目的で、消費者の個人情報を処理すること
リスク評価は、①該当する処理を開始する前に完了し文書化すること、②少なくとも3年ごとに見直し、必要に応じて更新すること、及び③処理が継続する間、又はリスク評価完了から5年間のいずれか長い期間保持することが求められます。
リスク評価については、処理目的などをリスク評価報告書に特定して文書化し、ウェブサイトを通じて当局に提出する必要があります。 なお、2026年と2027年に実施されたリスク評価については、提出期限は2028年4月1日となっています。
2024年9月末に成立し、2025年1月1日に施行された規則において、個人情報及びセンシティブ情報の定義及び、企業買収時のデータ移転について改正がなされました(下記(1)~(3))。 また、2025年に成立し、2027年1月に施行される規則において、オプトアウト・プリファレンス・シグナルの設置等が義務付けられました(下記(4))。
「個人情報」は、物理的形式(紙の文書、印刷された画像、レコード盤、ビデオテープなど)、デジタル形式(テキスト、画像、音声、または動画ファイルなど)、抽象的なデジタル形式(圧縮または暗号化されたファイル、メタデータ、または個人情報を出力できる人工知能システムなど)を含む様々な形式で存在することが明記されました。
「センシティブ個人情報」に消費者の神経データ(消費者の中枢神経系または末梢神経系の活動を測定することで生成される情報であり、非神経情報から推測されたものではない情報)が追加されました。
企業買収・合併時のデータ移転に関し、取得企業が元の事業者に対する消費者のオプトアウト指示(個人情報の販売・共有拒否)を尊重して遵守する義務が定められました。
ウェブブラウザに関して、合理的なユーザーが容易に発見し、個人情報の販売・共有停止を設定できるオプトアウト・プリファレンス・シグナル(OOPS)を設定することが義務づけられました。 なお、オプトアウト・プリファレンス・シグナルの仕組みとその効果については、消費者に対して明確に提示することが求められています。
以上