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2024.11.13

アルメニア共和国(「外国の個人情報の保護に関する制度」調査)

執筆弁護士

牛島総合法律事務所「外国の個人情報の保護に関する制度」調査

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エルサルバドル共和国

2024年11月13日初版
牛島総合法律事務所 弁護士 辻 晃平

個人情報の保護に関する制度の有無

包括的な法令として、以下の法令が存在する。

■個人データ保護法

  • URL:https://www.arlis.am/Annexes/4/Law_Personal_data_protection_EN.pdf
  • 施行状況:2015年7月1日施行(最新の改正は2023年10月13日施行)
  • 対象機関:公的部門、民間部門
  • 対象情報:自然人に関するあらゆる情報であって、個人を直接または間接的に識別できるもの、または識別できる可能性のあるもの

個別の分野に適用される法令として、以下の法令が存在する。

■銀行機密法

  • URL:https://www.arlis.am/DocumentView.aspx?DocID=172571(アルメニア語版のみ)
  • 施行状況:1996年10月25日施行(最新の改正は2025年1月7日施行予定)
  • 対象機関:アルメニア共和国中央銀行(Central Bank of the Republic of Armenia)、アルメニア共和国で営業する外国銀行の支店(部門)を含むアルメニア共和国の領域内で営業する銀行、および本法に基づき銀行機密を構成する情報を受領した、または知ることになったすべての個人、法人、法人格を持たない事業体
  • 対象情報:銀行機密(銀行の顧客口座に関する情報であって、顧客へのサービスに関連して銀行に知られることとなったもの、顧客の指示によりまたは顧客の利益のために行われた取引に関する情報、ならびに顧客の営業秘密、事業計画、開発、発明、工業デザイン等に関する情報であって、顧客が機密保持を意図し、銀行がその意図について認識し、または合理的に認識し得たもの)

■アルメニア共和国労働法

  • URL:https://www.arlis.am/DocumentView.aspx?DocID=194077(アルメニア語版のみ)
  • 施行状況:2005年6月21日施行(最新の改正は2024年11月24日施行予定)
  • 対象機関:アルメニア共和国の領域内で発生する労働関係における雇用主
  • 対象情報:従業員の個人情報(雇用関係に関連する情報及び従業員に関する具体的な内容で、雇用主にとって必要なもの)

■バイオメトリクス個人データの物的運搬装置および情報システム外での保存技術の要件の決定に関する2015年10月15日付アルメニア政府決定N1175

  • URL:https://www.arlis.am/DocumentView.aspx?DocID=101064(アルメニア語版のみ)
  • 施行状況:2015年10月31日施行
  • 対象機関:公的部門、民間部門
  • 対象情報:バイオメトリクス個人データ(個人の身体的、生理的、生物学的特徴を特徴付ける情報)

■国および地方自治団体のデータベースで処理される個人データの電子的手段による移転手続きに関するアルメニア共和国政府の決定

  • URL:https://www.arlis.am/documentview.aspx?docid=111991(アルメニア語版のみ)
  • 施行状況:2017年3月19日施行
  • 対象機関:公的部門、民間部門
  • 対象情報:個人に関する情報であって、当該情報に含まれる個人を直接または間接的に識別することができるもの、またはその可能性があるもの

個人情報の保護に関する制度についての指標となり得る情報

EUの十分性認定なし
APECのCBPRシステムなし

OECD プライバシーガイドライン8原則に対応する事業者等の義務又は本人の権利

OECDプライバシーガイドライン8原則に対応する事業者等の義務又は本人の権利については、以下のとおり。

(1) 収集制限の原則上記法令に規定されている。
(2) データ内容の原則上記法令に規定されている。
(3) 目的明確化の原則上記法令に規定されている。
(4) 利用制限の原則上記法令に規定されている。
(5) 安全保護の原則上記法令に規定されている。
(6) 公開の原則上記法令に規定されている。
(7) 個人参加の原則上記法令に規定されている。
(8) 責任の原則上記法令に規定されている。

その他本人の権利利益に重大な影響を及ぼす可能性のある制度

個人情報の域内保存義務に係る制度であって、本人の権利利益に重大な影響を及ぼす可能性のあるもの-アルメニアの法律では、データのローカライゼーションは明確に義務付けられていないものの、以下のような機微性の高い分野や目的において、ローカライゼーション的な意味合いをもつ規制やアクセス要件が課される場合がある。
・ 金融分野:アルメニア中央銀行の規制では、金融機関に対し、機密性の高い金融情報を保護するための厳格なデータ保護基準を課しており、銀行は、取引データをアルメニア国内のサーバーに保存するか、機密性の高い金融データを国際的に転送する場合は特定の暗号化プロトコルを採用するよう求められる場合がある。
・ ヘルスケア分野:ヘルスケア分野のデータ、特に患者記録は機微性が高く、より厳格な管理の対象となる可能性がある。たとえば、アルメニアの医療プロバイダーが医療記録を国際的なクラウドプラットフォームに保存する場合、プロバイダーがアルメニアのデータ保護要件を満たしていることを確認する必要がある。医療データは多くの場合、暗号化や海外へのデータ移転の同意要件、さらに移転先が適切なプライバシー基準を維持していることの保証など、追加の保護措置の対象となる。
・ 電気通信・国家安全保障分野:アルメニアの通信データには、通信に関する個人データが含まれることがありますが、国家安全保障の目的で、より厳格な保持要件やアクセス要件が課されることがあり、たとえば、犯罪捜査中や特定の国家安全保障上の懸念への対応など、管理された状況下で、電気通信会社は政府当局にデータを提供するよう求められることがある。
事業者に対し政府の情報収集活動への協力義務を課す制度であって、本人の権利利益に重大な影響を及ぼす可能性のあるもの-当局が個人データにアクセスできるのは、犯罪捜査や国家安全保障上の懸念など、定義された法的状況下に限られる。当該アクセスは、必要性と合法性の原則に沿い、比例的で厳格に規制される。また、機微な情報または特定のケースについては、無差別なアクセスを制限するため、裁判所の命令などの追加の手続き上のセーフガードが要求されることがある。

 

当事務所は、調査結果の正確性や妥当性について責任を負いませんので、調査結果のご利用は自らのご判断で行っていただきますようお願い申し上げます。

牛島総合法律事務所による「外国の個人情報の保護に関する制度」の調査結果は以下に掲載しております。https://ushijima-law.gr.jp/topics/foreign_pi_legislation/