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2024.05.23

コソボ共和国(「外国の個人情報の保護に関する制度」調査)

執筆弁護士

牛島総合法律事務所「外国の個人情報の保護に関する制度」調査

PDFファイルはこちら

コソボ共和国

2024年5月23日初版
牛島総合法律事務所 弁護士 辻 晃平

<元となった調査報告書の作成者>
調査日2024年4月18日
法律事務所RPHS Law
https://rphs.law/
担当弁護士Rachel Guthrie(カウンセルKushtrim Palushi (パートナー)
連絡先kushtrim.palushi@rphs.law
調査報告書へのリンク英語(PDF)日本語仮訳(PDF)

個人情報の保護に関する制度の有無

包括的な法令として、以下の法令が存在する。

  • 個人情報の保護に関する法律(第06/L-082号)
    • URL:https://gzk.rks-gov.net/ActDetail.aspx?ActID=18616
    • 施行状況:2019年3月12日施行
    • 対象機関:公的部門、民間部門
    • 対象情報:識別されたまたは識別可能な自然人(氏名、識別番号、位置情報、オンライン識別子などの識別子、またはその自然人の身体的、生理的、遺伝的、精神的、経済的、文化的、社会的アイデンティティに固有の1つ以上の要素を参照することによって、直接的または間接的に特定できる自然人)に関するあらゆる情報。

個人情報の保護に関する制度についての指標となり得る情報

EUの十分性認定なし
APECのCBPRシステムなし

OECD プライバシーガイドライン8原則に対応する事業者等の義務又は本人の権利

OECDプライバシーガイドライン8原則に対応する事業者等の義務又は本人の権利については、以下のとおり。

(1) 収集制限の原則上記法令に規定されている。
(2) データ内容の原則上記法令に規定されている。
(3) 目的明確化の原則上記法令に規定されている。
(4) 利用制限の原則上記法令に規定されている。
(5) 安全保護の原則上記法令に規定されている。
(6) 公開の原則上記法令に規定されている。
(7) 個人参加の原則上記法令に規定されている。
(8) 責任の原則上記法令に規定されている。

その他本人の権利利益に重大な影響を及ぼす可能性のある制度

個人情報の域内保存義務に係る制度であって、本人の権利利益に重大な影響を及ぼす可能性のあるもの-個人データ保護を保証するデータを電子形式で蓄積、管理、配布、保管する国家データ電子センターが存在するものの、民間企業全般についてデータローカライゼーションの義務は存在しない。
事業者に対し政府の情報収集活動への協力義務を課す制度であって、本人の権利利益に重大な影響を及ぼす可能性のあるもの-第三者(民間団体を含む)が保有する個人データにアクセスするための適切な根拠を当局に提供する特別な法律が多数存在する(ただし、アクセスのための条件や制限が定められている)。具体的には以下のとおりである。
・刑法:刑事犯罪の加害者に関する個人情報を含む犯罪記録が以下の者に限定して開示される。①(当該人物に対して行われる刑事手続に関連して)裁判所・検察官・警察、②刑事処分の執行を担当する管轄当局、③恩赦や刑の執行抹消の手続に関与する管轄当局
・刑事訴訟法:裁判所、検察官、警察といったコソボの法執行機関が、犯罪捜査や法的手続のために個人データにアクセスしたり、私人に個人データの提供を強制したりするための規則や手続を定めている。
・コソボ諜報機関(KIA)法:KIAが第三者の保有する個人情報にアクセスするための手続を定めている。
・電子通信傍受法:国家機関による刑事訴訟上の必要性から実施される電子通信傍受の手続と条件、およびコソボ共和国とその国民の安全保障上の必要性から実施される傍受の手続と条件について定めている。
・競争保護委員会(The Commission for the Protection of Competition)には、手続の当事者に包括的な情報を要求する非常に広範な権利が与えられている。ただし、かかる要求法的根拠に基づいて行われなければならず、要求の対象および目的、回答期限、要求に応じない場合に課される可能性のある罰金についての警告が記述されている必要がある。
・租税手続管理法:同法は、コソボ税務当局(以下「TAK」)対して、対象となる人物の納税義務の有無にかかわらず、当該人物本人のみならず、金融機関に対して、法人、事業者・非事業者の自然人の口座における国内外でのすべての自国通貨・外貨建ての取引(預貯金を含む)に関する情報を要求・収集する権限を与えている。
-なお、秘匿特権によって弁護士と依頼人との間のコミュニケーションは保護される。

     

    当事務所は、調査結果の正確性や妥当性について責任を負いませんので、調査結果のご利用は自らのご判断で行っていただきますようお願い申し上げます。

    牛島総合法律事務所による「外国の個人情報の保護に関する制度」の調査結果は以下に掲載しております。https://ushijima-law.gr.jp/topics/foreign_pi_legislation/