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事務所概要・アクセス
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<目次>
1. 商事法
2. 民事法・民事手続法
3.労働法
裁判所ウェブサイトや法務雑誌等で公表された最近の裁判例の中で、企業法務の観点から注目される主な裁判例を紹介します(2025年11月・12月)。
東京高判令和7年6月6日(下記1(1))〔東京電力株主代表訴訟事件〕は、東京電力の株主Xらが、取締役であったYらに対し、大規模地震の発生により福島第一原発に津波が遡上して過酷事故が発生することを予見できたにもかかわらず、必要な対策を速やかに講じなかったとして、善管注意義務違反等の任務懈怠に基づく損害賠償として、連帯して22兆円を東京電力に支払うよう求めた株主代表訴訟です。
原判決(東京地判令和4年7月13日)は、Yら(1名除く)が取締役として過酷事故に至る事態を認識し得たとして、津波対策を速やかに実施するよう指示すべき善管注意義務の任務懈怠を理由に、合計13兆円余の支払を命じました。これに対し、本判決は、善管注意義務の前提となる予見可能性について、合理性・信頼性のある根拠が必要と判断したうえ、政府機関の長期評価等は、具体的な予見可能性を認める根拠として十分でないと判示し、Yらの責任を否定しました。
本判決は、取締役らの善管注意義務の前提となる予見可能性の程度について、原判決と異なる評価を行い、反対の結論に至ったものであり、専門的知見が分かれる場合における取締役の責任を検討するうえで参考になります。
東京地判令和7年3月27日(下記1(2))は、上場会社Y社の株主Xらが、Y社及び同社役員らに対し、Y社の有価証券報告書等に虚偽記載があったことによるY社株式の市場価格の下落分の損害賠償を求めた事案です。
東京地裁商事部(民事第8部)は、虚偽記載により株価が不当に高く評価された部分(高値取得部分)と、虚偽記載の発覚により信用毀損が生じ投資者が保有株式を売却する行動に出た部分(ろうばい売り部分)を虚偽記載等と相当因果関係のある損害として認めました。そのうえで、損害額の算定に当たり、①虚偽記載と相当因果関係にある株価下落の範囲、②取得価額や処分価額に照らした修正、③虚偽記載と無関係な要因による下落分の有無、④有価証券報告書の縦覧期間に応じた修正を検討し、次いで、損害額算定の対象となる株式を先入先出法(取得時期が早いものから順に処分されたものとして対象株式を特定する方法)により特定し、虚偽記載と相当因果関係のある損害額を認定しました。
本判決は、有価証券報告書の虚偽記載による損害の認定に当たり、従来の裁判例の判断枠組みを概ね踏襲しつつ、損害額の算定について、上記手法を用いて詳細な認定を行ったものであり、今後の同種事案における実務上の指針になり得るものと考えられます。
最三判令和7年12月23日(204号)(下記2(1))は、LPガス販売事業者(X)が、戸建て住宅向けLPガス供給契約における無償配管の商慣行(建設業者と提携するLPガス販売事業者が新築住宅の配管工事を無償で行い、その後住宅購入者とLPガス供給契約を締結する際、所定期間内の解約の場合に設備設置費用の精算を求める条項を定める商慣行)に基づき、戸建て住宅購入者(Yら)とLPガス供給契約を締結した後、Yらが所定期間経過前に当該契約を解約した場合に、契約条項に基づく設備設置費用の一部の請求が認められるかが争われた事案です。
最高裁は、当該契約条項の目的は短期間の解約を防止し、LPガス供給契約を長期間維持することであると指摘し、Yらの解除に伴いXに生ずべき平均的な損害は存在しないなどと判断し、当該契約条項を消費者契約法9条1号により無効としました。本判決により、LPガス供給契約における無償配管の商慣行という実務は見直しを迫られるものと考えられます。
東京電力原発事故株主代表訴訟事件控訴審判決(資料版商事法務500号27頁)
東北地方太平洋沖地震に伴う津波による東京電力福島第一原子力発電所の事故について、津波が襲来することによる過酷事故を防止するための対策を速やかに講ずるように指示等を行う必要があることを認識できたといえる程度に具体性のある予見可能性があったとは認められないとして、任務懈怠を否定し、取締役らに対する会社法423条1項に基づく損害賠償請求が認められなかった事例(金融・商事判例1730号12頁)
有価証券報告書等に虚偽記載があったことを理由とする株主の会社および会社の役員らに対する損害賠償請求訴訟において原告らの主張に基づき請求対象株式を先入先出法を用いて特定した事例
共同相続された株式から生じた配当金請求権は、株式(株主権)の内容を構成する剰余金の配当を受ける権利が具体化したものであるから、当然に相続分に応じて分割されることはない
会社法796条3項に基づく簡易株式交換手続に対する株主の反対通知は、社債、株式等の振替に関する法律154条1項の規定する少数株主権等の行使に当たり、反対通知に際しての個別株主通知は、反対通知の期間である会社法797条3項の通知または同条4項の公告の日から2週間以内にされなければならないとして、同期間後に個別株主通知をした場合に、同期間内に債権者が行った反対通知は個別株主通知を欠くものであって、債務者に対抗することはできないと判断された事例
1 消費者が液化石油ガスの供給等に関する契約を終了させる場合に消費設備に係る配管の設置費用等に関して所定の金額を液化石油ガス販売事業者に支払う旨を定めた条項が、消費者契約法(令和4年法律第59号による改正前のもの)9条1号にいう「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」に当たるとされた事例
2 消費者が液化石油ガスの供給等に関する契約を終了させる場合に消費設備に係る配管の設置費用等に関して所定の金額を液化石油ガス販売事業者に支払う旨を定めた条項が、消費者契約法(令和4年法律第59号による改正前のもの)9条1号により無効となるとされた事例
液化石油ガス供給のために戸建て住宅に設置された消費設備に係る配管等につき当該住宅に付合しており民法242条ただし書の適用もないとされた事例
訴えの取下げおよび訴訟代理人の解任が無効であるとされた事例
別荘地の分譲を受ける際に締結した、分譲地所有者を委任者、管理者を受任者とする分譲地の管理等を目的とする管理契約について、受任者の利益のためにも締結されたものと認められるとして、分譲地所有者が行った解除の効力を否定した事例
美容師が使用者との間で締結した退職後の競業避止義務に関する合意に違反して、退職後に近隣の店舗で美容師として勤務した事案において、使用者の損害賠償請求を一部認容した事例
産別組合の独禁法違反該当性
条件付採用期間延長および免職処分の違法性
ホテル支配人らの労働者性
中途採用者の試用期間中の解雇の適法性
1年間の有期雇用契約の試用期間該当性
以 上
(※)令和7年9月24日の裁判所ウェブサイトのリニューアル(リンク)に伴い、同ウェブサイト内のURLが変更されたため、これまでに配信したニューズレター中、裁判所ウェブサイト登載の裁判例のリンクがすべて無効となっております。ご不便をおかけしますが、ご了承ください。