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2023.06.27

企業法務の観点から注目される最近の主な裁判例(2023年6月号)

牛島総合法律事務所 訴訟実務研究会

<目次>
1. 商事法
2. 民事法・民事手続法
3. 労働法
4. その他(知的財産法・経済法・税法等)

裁判所ウェブサイトや法務雑誌等で公表された最近の裁判例の中で、企業法務の観点から注目される主な裁判例を紹介します(2023年6月)。

1. 商事法

(1) 最三決 令和5年5月24日(裁判所ウェブサイト

会社法144条2項に基づく譲渡制限株式の売買価格の決定の手続において裁判所が上記売買価格を定める場合に、DCF法によって算定された上記譲渡制限株式の評価額から非流動性ディスカウントを行うことができるとされた事例

(2) 最三決令和4年2月25日(判例時報2551号131頁、裁判所ウェブサイト

金融商品取引法167条1項6号にいう「その者の職務に関し知つたとき」に当たるとされた事例

(3) 東京地決令和5323日(資料版商事法務470130頁)〔ファミリーマート株式買取価格決定申立事件〕

ファミリーマート株式公開買付けにかかる株式買取価格決定申立事件

(4) 東京地判令和4722日(金融・商事判例166634頁)

1 ソーシャルレンディングにおけるウェブサイト上の募集画面中の資金使途について、金融商品取引業等に関する内閣府令117条1項2号所定の虚偽表示等があったとされた事例
2 ソーシャルレンディングに係る募集を行う第二種金融商品取引業者が、投資者との関係で、資金需要者において出資金の分別管理が行われていることを確認すべき注意義務を負い、その違反に基づき不法行為責任を負うとされた事例

(5) 大阪高決令和4721日(金融法務事情220940頁)〔三ッ星新株予約権無償割当差止仮処分命令申立事件〕

買収防衛策として導入発動された新株予約権の無償割当てが、相当性を欠くものとして、その仮の差止めが認められた事案

(6) 東京高判令和4713日(判例タイムズ1507103頁)

会社の事業再編計画の一環として、会社が取締役の利益相反取引によって他社の株式を有償で譲り受けたことについて、当該取締役を含む取締役らの会社に対する損害賠償責任が否定された事例

(7) 名古屋地判令和4年4月19日(判例時報2549号66頁、裁判所ウェブサイト

診療報酬債権を裏付資産として発行する社債の私募の取扱いをした証券会社が、当該社債の販売支援を行っていた別の証券会社等から追加資料の提供を受けるなどして、当該社債が真実診療報酬債権を裏付けとするものであるといえるかを調査すべき義務を負うものとされた事例

(8) 東京地判令和4328日(判例時報255073頁)〔世紀東急工業株主代表訴訟〕

独禁法違反による排除措置命令及び課徴金納付命令を受けた会社の取締役らについて、法令遵守義務違反による任務懈怠責任を認め、その損害として課徴金相当額の一部の会社に対する支払を命じた株主代表訴訟の事例

(9) 東京高判令和31223日(金融・商事判例16668頁)

海外旅行保険における旅行行程中の保険事故の発生に当たらず、保険代理店の錯誤無効を肯定した事例

(10) 大阪高判令和31111日(金融・商事判例166537頁)

新株発行の不存在請求を棄却した1審判決を取り消し、募集株式発行が不存在であるとされた事例

2. 民事法・民事手続法

(1) 最一決令和4年10月6日(金融・商事判例1665号8頁、裁判所ウェブサイト

民事執行法197条1項2号に該当する事由があるとしてされた財産開示手続の実施決定に対する執行抗告において請求債権の不存在または消滅を執行抗告の理由とすることの許否

(2) 最二判令和4年6月24日(判例タイムズ1507号49頁、裁判所ウェブサイト

インターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワークにおいてある者のプライバシーに属する事実を摘示するメッセージが投稿された場合にその者が上記情報ネットワークの運営者に対して上記メッセージの削除を求めることができるとされた事例

(3) 最一判令和4年12月12日(判例タイムズ1507号41頁裁判所ウェブサイト

1 賃貸住宅に係る賃料債務等の保証委託及び連帯保証に関する契約書中の、賃料等の不払があるときに連帯保証人が無催告にて賃貸借契約を解除することができる旨を定める条項の消費者契約法10条に規定する消費者契約の条項該当性
2 賃貸住宅に係る賃料債務等の保証委託及び連帯保証に関する契約書中の、賃料等の不払等の事情が存するときに連帯保証人が賃貸住宅の明渡しがあったものとみなすことができる旨を定める条項の消費者契約法10条に規定する消費者契約の条項該当性

(4) 大阪地判令和5年2月3日(金融・商事判例1666号16頁)

原告法人の元従業員である被告が、同人の詐欺行為に関し、詐欺行為の被害者に提出した2通の書面による表現について、原告法人と被害者との間の損害賠償請求訴訟に書証として提出された書面については被告による名誉毀損の成立が否定され、その余の書面については名誉毀損の成立が認められた事例

(5) 東京高判令和5125日(判例タイムズ150774頁)

1 被控訴人Y2(日本法人)に雇用され、被控訴人Y1(日本法人)に出向していた控訴人X1(常居所地を日本とする中国籍の男性)が、被控訴人Y1の業務のためにマレーシアに出張中、被控訴人Y1の孫会社(マレーシア法人)の従業員(マレーシア国籍)が運転する乗用車に同乗していたところ交通事故に遭い、重傷を負ったことに関し、控訴人X1とその妻控訴人X2(常居所地を日本とする日本国籍の女性)の被控訴人らに対する使用者責任(民法715条1項)及び運行供用者責任(自賠法3条)に基づく損害賠償請求について、その準拠法が、法の適用に関する通則法20条により日本法であるとされた事例
2 本件事故を起こした被控訴人Y1のマレーシアの孫会社の従業員の過失による運転行為が、被控訴人Y1の事業の執行についてした行為(民法715条1項)に当たるとされた事例

(6) 東京地判令和4119日(金融・商事判例166623頁)

破産会社の顧客から被告銀行の破産会社名義の普通預金口座への振込入金を、銀行が破産会社との合意に基づき同口座から別段預金へと振り替え、その後貸金債権を自働債権とし上記預金債権等を受働債権として対当額で相殺するとの意思表示をしたことが、破産法71条1項2号に該当しないとされた事例

(7) 東京高判令和41026日(金融・商事判例166512頁)

処分行政庁による差押処分に基づく債権取立ての対象となった預金債権の原資が差押えが禁止されている年金であったとしても、当該差押処分による取立ては差押禁止債権にされたものとはいえず、同差押処分に基づく取立てに法律上の原因がないとはいえないとして、不当利得返還請求が棄却された事例

(8) 東京地判令和4719日(判例タイムズ1507240頁)

1 人の肖像を無断で使用する行為が肖像権を侵害するものとして不法行為法上違法となる場合
2 元プロテニス選手を被写体とする写真を同人に無断で週刊誌に掲載する行為が肖像権を侵害するものではなく不法行為法上違法とはいえないとされた事例

(9) 東京高判令和477日(金融・商事判例166522頁)

甲市に面する湾内の乙島でホテルを経営していた破産会社の破産管財人が、破産手続開始前の同社が同ホテルの経営に伴い営んでいた一般旅客定期航路事業および旅客不定期航路事業を同社の子会社に代金合計100万円で譲渡したことは破産法160条1項1号に当たると主張して、破産裁判所に申し立てた否認の請求を認容した同裁判所の決定に対する子会社の異議を排斥して同決定を認可した異議審の原判決が控訴審において是認された事例

(10) 大阪地判令和4525日(判例タイムズ1507211頁)

原告が提供するロードサービスについて、明示的な禁止規定がなくても、事業者が搬送等の商用目的で無償利用することは許容されていないとして、原告の会員であった中古車販売業者らの不正利用を認める一方、不正利用を看過した原告側の体制や対応についても相当程度の問題があったとして、3~5割の過失相殺をして、不法行為に基づく損害賠償請求を一部認容した事例

(11) 札幌地判令和4年4月21日(判例タイムズ1507号233頁、裁判所ウェブサイト

持ち帰り弁当事業を営む被告との間でフランチャイズ加盟契約等を締結していた原告が、被告から上記フランチャイズ加盟契約等の期間満了後の再契約を拒絶されたことに関し、再契約の拒絶はやむを得ない事由を欠き無効であると主張して、原告が上記フランチャイズ加盟契約等に基づく契約上の地位にあることの確認を求めるとともに、再契約の拒絶が債務不履行又は不法行為に当たると主張して逸失利益及び慰謝料等の支払を求めた事案において、原告は被告との間で上記フランチャイズ加盟契約等の再契約をしないことを合意していたと認められるとして、原告の請求をいずれも棄却した事例

(12) 東京地判令和4214日(判例時報25495頁)

1 土地売買の中間業者が、自己が費消する目的を秘して、土地所有者が求める代金を超えた支払を買主に請求したことにつき不法行為(詐欺行為)が認められた事例
2 前記詐欺行為による騙取金が振り込まれた預金口座の預金債権について転付命令を受けたことが不当利得に当たるとされた事例

3. 労働法

(1) 最二判令和5310日(労働判例12845頁)〔熊本総合運輸事件〕

賃金総額から基本給等を控除した額を割増賃金とする給与体系の適法性

(2) 東京地判令和41226日(労政時報405612頁)〔伊藤忠商事ほか事件〕

退職に際して大量の業務データを自己のクラウドストレージにアップロードしたことは悪質な非違行為であり、懲戒解雇は有効

(3) 東京高判令和4年12月21日(労働判例1283号5頁、裁判所ウェブサイト)〔国・中労委(セブン-イレブン・ジャパン)事件〕

コンビニ加盟店主らの労働者性と団交拒否の不当労働行為該当性

(4) 大阪地判令和4125日(労働判例128313頁)〔近鉄住宅管理事件〕

マスク非着用による解雇・配転等の有効性

(5) 大阪地決令和41110日(労働判例128327頁)〔地方独立行政法人市立東大阪医療センター(仮処分)事件〕

救急外科医に対する配転の有効性と就労請求権

(6) 大阪高判令和41014日(労働判例128344頁)〔大器キャリアキャスティングほか1社事件〕

複数会社就労者の雇止め・長時間労働等の違法性

(7) 東京高判令和4526日(労働判例128471頁)〔龍生自動車事件〕

事業廃止に伴う解雇の有効性

(8) 福岡高宮崎支判令和3128日(労働判例128478頁)〔学校法人宮崎学園事件〕

給与基準の改定による年俸減額の有効性

4. その他(知的財産法・経済法・税法等)

(1) 東京高判令和333日(判例時報255114頁)〔ラルズ事件〕

大手スーパー業者が納入業者にオープンセール協賛金等を支払わせるなどした行為が優越的地位を濫用したものであるとして公正取引委員会が命じた排除措置命令及び課徴金納付命令に係る審決の取消請求につき、当該業者の優越的地位の濫用を認めて棄却した事例

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