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事務所概要・アクセス
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<目次>
1. データセンターについて
2. データセンターの開発・運用について
(1) データセンターの開発について
(2) データセンターの運用について
3. データセンターの開発・投資に関する証券化スキーム
(1) GK-TKスキーム
(2) TMKスキーム
(3) LPS(投資事業有限責任組合)スキーム
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本ニューズレターは、掲載時点までに入手した情報に基づいて執筆したものであり、また具体的な案件についての法的助言を行うものではないことにご留意ください。また、本ニューズレター中意見にわたる部分は、執筆担当者個人の見解を示すにとどまり、当事務所の見解ではありません。
データセンターとは、サーバーやネットワーク機器を設置するために特別に作られた専用施設で、クラウドサービスの運用や企業のデータ保管、人工知能(AI)の開発など幅広い用途に使われます。内部にはサーバーを収納するラックや、ネットワーク機器を設置するスペースが用意されています。また、インターネットなど外部と接続できる高速回線、冷却装置、大容量電源など、サーバー設置に必要な多様な設備が整えられています。
データセンターのサービスは、主に、サーバー類の収容のために施設を貸し出す「ハウジング」または「コロケーション」と、データセンター内のサーバー類を貸し出す「ホスティング」の2つに大別できます。ハウジングとコロケーションは、データセンターという建物またはその中にあるサーバーを収納するラックや機器を設置するスペースを貸し出すサービスです。両者に明確な定義はないものの、貸し出されるスペースの大きさで区別され「ハウジング」は専用ラックを賃貸する場合を、「コロケーション」は専有スペースを賃貸する場合を指すなどとされます。
ホスティングは、データセンター側で用意したサーバーおよびネットワーク機器を貸し出すサービスで、そのため、「レンタルサーバー」と呼ばれることもあります。
データセンターの開発においては、用地を取得し、建物を建設することになります。
データセンターの場所・規模にもよりますが、国土利用計画法、都市計画法、建築基準法、その他開発規制に関する法令等を検討する必要が出てきます。また、地権者との売買または賃貸借が必要な場合、これらにおいては、民法、宅建業法、借地借家法、不動産登記法等の検討も要します。
取得する用地の所在地や現況にもよりますが、多数の地権者が所有する広大な用地を取得する場合、地権者のとりまとめを行う必要があり、現況が市街化調整区域や農地などである場合などには、開発にあたって関連当局から一定の許認可等の取得が必要になります。また、多数の地権者のなかに用地の買収に応じない者がいる場合の代替手段の検討、用地取得に係る売買契約や借地契約における行政対応に関する条件設定等、プロジェクトが頓挫するリスクも踏まえた対応を検討する必要があります。
その他にも、たとえば、森林法、河川法、環境影響評価法、騒音規制法、景観法、地球温暖化対策の推進に関する法律その他各条例等に留意する必要があり、また開発に当たっては、建築基準法や消防法(火災予防に係る条例等を含む。)、景観法等に留意するとともに、当該地域の周辺住民や住環境との調和・融合に関する条例等の検討を要する場合もあります。
また、データセンターでは、大量の電力を消費することから、高圧かつ複数系統による受電が必要となるため、電気需給契約の締結のほか、新たな送電線敷設のため相当の時間や費用を要する場合があります。
データセンターの利用者と事業者(所有者)との間の契約の内容としては、サーバー室・ラックに関する賃貸借、ソフトウェアや電気等の利用に関する契約、入館・入室時の電子錠の利用監視システムに関する契約、事務室、データ保管室、倉庫、キャビネット等の利用契約等、複合的な内容を有する契約が必要となります。
多くの場合、データセンター事業者(所有者)がサーバーの設置スペースを提供するサービスは、利用者との賃貸借契約と判断されると思われます。この点、データセンター事業者(所有者)が提供するサービスの内容や具体的な事情によって借地借家法の適否を含む適用法令に影響がありますので、サービス提供に際してこの点も考慮する必要があります。
データセンターの開発および投資の観点から、以下のような特別目的会社等を利用する投資(証券化)スキームが考えられます。
データセンターの開発等に対し投資する場合、投資家を匿名組合員とし、特別目的会社(SPC)を営業者とするGK-TKスキーム(投資家が匿名組合員となり合同会社等のSPCを営業者とする商法第二編第四章に定める匿名組合契約に基づく投資スキーム)を利用することが考えられます。
もっとも、匿名組合員が現物不動産に対して投資する場合、不動産特定共同事業法上の規制を受けます。したがって、SPCを利用するスキームにおいては、投資対象を当該不動産に関する信託受益権とすることで、不動産特定共同事業法の適用を回避することができます。他方、SPCが不動産取引に係る業務について不動産特定共同事業者に委託し、特例事業の届出を行うという方法によって現物不動産に対して投資することも可能です。
資産流動化法上の特定目的会社(TMK)を使って投資を行うことも考えられます。このスキームでは、GK-TKスキームと異なり、いわゆる導管性が法律レベルで確保されるため、ヴィークル(TMK)及び投資家に対する二重課税)を回避することができます。また、アセットマネジャーについて金融商品取引法の適用を回避することもできます。
ただし、TMKは、財務局に提出する資産流動化計画に基づいて業務を行わなければならず、特定資産である不動産の管理処分に係る業務の委託先は信託設定による場合を除き宅地建物取引業者である必要があるほか、他業禁止、配当の損金算入に関する租税特別措置法に定める要件充足等種々の規制があります。
データセンターの開発等に対し投資する場合、投資事業有限責任組合契約(LPS契約)を利用することも考えられます。投資事業有限責任組合契約(LPS契約)においては、無限責任組合員と有限責任組合員が組合員となる必要がありますが、無限責任組合員としてSPCを設置し、投資家が有限責任組合員となり、SPC自らが適格機関投資家等特例業務を行うか、当該業務を投資運用業者に一任するスキーム等を検討することが考えられます。
また、投資事業有限責任組合契約(LPS契約)においては現物不動産を投資対象とできないので、信託受益権または匿名組合出資持分等有価証券を投資対象とすることになります。このスキームでは法定監査等を要する等の規制がありますが、各組合員が納税主体となります。
2024/06/14 BUSINESS LAWYERS 特集
「データセンターの開発等に関する法規制・契約と証券化スキーム」
以 上