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2026.01.19

廃掃法違反による行政処分、刑事処分の最新動向(2026年1月統計と資源循環)

<目次>
1. 廃掃法違反による行政処分、刑事手続
2. 近時の動向
(1) 産業廃棄物の不法投棄等の状況
(2) 行政処分等の状況
(3) 刑事手続の状況
3. 不法投棄等発覚時の対応

 
1. 廃掃法違反による行政処分、刑事手続

廃棄物処理事業を行う企業のみならず、製品の製造過程で廃棄物が生じるメーカーや、使用済み製品の回収といった資源循環(サーキュラーエコノミー)に取り組む企業、その他多くの産業廃棄物・事業系一般廃棄物を排出する一般企業は、事業を運営する上で、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法・廃棄物処理法)の規制を受けます。
廃掃法では、様々な行政処分が定められており、それぞれ罰則が定められています。筆者は、これまで数多くの行政対応を行ってきましたが、行政処分の傾向を押さえておくことは実務上非常に重要です。本稿では、廃掃法違反による行政処分、刑事手続の最新動向(2026年1月時点)を紹介します。
なお、過去の行政処分の内容は、各自治体のウェブサイトでも公表されています(注1)。
 
(注1)東京都ウェブサイト「廃棄物処理法に基づく行政処分情報」(更新日:2025年10月28日)、大阪府ウェブサイト「産業廃棄物処理業取消等処分情報」(更新日:2025年11月25日)等

2. 近時の動向

(1) 産業廃棄物の不法投棄等の状況

不法投棄の新規判明件数は、平成10年に1,197件でピークを迎えたあと減少していますが、令和6年度に新たに判明した不法投棄事案は106件となっています。いまだに100件を超える水準を維持しており、悪質な不法投棄が未だ跡を絶ちません。

出典:環境省 環境再生・資源循環局「産業廃棄物の不法投棄等の状況(令和6年度)調査結果」(令和7年12月)

不適正処理の新規判明件数についても、令和6年度は113件(総量6.0万トン)となっており、いまだに100件を超える水準を維持しています。

(2) 行政処分等の状況

令和4年度における廃掃法に基づく行政処分等の状況は、以下のとおりです。依然として、報告徴収は5000件超、立入検査は約19万件といった高い水準を維持しています。

出典:環境省ウェブサイト「産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(令和4年度実績等)について」(2025年3月27日)

(3) 刑事手続の状況

廃掃法違反は、平成19年(8,879人)をピークとして、平成27年以降は大きな変化なく推移しており、令和5年は6,384人となっています(「令和6年版 犯罪白書」第1編/第2章/第2節)。
また、廃掃法違反で検挙された事件の内訳は、令和5年と令和6年のいずれも、不法投棄が約50%となっています(下記表の「その他」には、委託違反等を計上しています。)。

統計2-32 廃棄物処理法違反の態様別検挙状況(令和6年)
態様別総数不法投棄焼却禁止その他
事件数(事件)4,7192,4262,26528
構成比(%)51.4480.6
出典:令和7年警察白書「2-32 廃棄物処理法違反の態様別検挙状況(令和6年)」
統計2-32 廃棄物処理法違反の態様別検挙状況(令和5年)
態様別総数不法投棄焼却禁止その他
事件数(事件)5,0542,6332,36655
構成比(%)52.146.81.1
出典:令和6年警察白書「2-32 廃棄物処理法違反の態様別検挙状況(令和5年)」

不法投棄者の内訳は、排出源事業者が約80%、無許可業者が約15%となっており、許可業者による不法投棄はほとんど見られません。

統計2-31 産業廃棄物不法投棄事犯の投棄者別、動機別内訳(令和6年)
投棄者排出源事業者許可業者
収集運搬
許可業者
処分
無許可業者総数
件数1692043214
出典:令和7年警察白書「2-31 産業廃棄物不法投棄事犯の投棄者別、動機別内訳(令和6年)」

3. 不法投棄等発覚時の対応


不法投棄などの廃棄物処理法違反や汚染の拡散を認識した場合には、監督当局等との信頼関係を維持し今後円滑な調査を進めるため、また、不正行為を隠蔽していたという印象を持たれないために、速やかに、自治体等の行政等へ一報を入れたうえで、協議調整を進めながら、適切に社内調査を実施し再発防止策を策定し実行することが重要です。
他方で、不法投棄等が判明した段階、対策を実施する前の段階、対策を実施している段階、対策を完了した段階などのそれぞれのタイミングで、周辺住民等に対して、汚染や健康リスク、対策内容等について十分に説明を行うことも必要となります。
以上の詳細は、下記弊著も参照してください。
● 猿倉健司「廃棄物リサイクル・資源循環の法規制とリスク管理」(金融財政事情研究会、2025年11月)第5章
● 猿倉健司「ケーススタディで学ぶ 環境規制と法的リスクへの対応」(第一法規、2024年11月)VI
● 猿倉健司「不動産取引・M&Aをめぐる 環境汚染・廃棄物リスクと法務」(清文社、2021年7月)第5章第2節2、第6章

数多くの行政対応を行ってきた筆者の経験上、行政への報告のタイミング、協議の進め方によって、事業者が重い処分を受けるかどうかの結果に大きな影響を及ぼします。そのため、事故が発生した時や法規制の違反等が発覚した場合に、行政対応を含めた経験・実績のある専門家のサポートのもと、速やかにかつ慎重に行政への報告や自主的な対応の検討・実施等を進めることが必要となります。

以上