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事務所概要・アクセス
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<目次>
1. 商事法
2. 民事法・民事手続法
3. 労働法
4. その他(警備業法)
裁判所ウェブサイトや法務雑誌等で公表された最近の裁判例の中で、企業法務の観点から注目される主な裁判例を紹介します(2026年1月・2月)。
東京高判令和7年7月16日(下記1(2))は、非上場会社を対象とする二段階買収において、一段階目の取引に応じなかった株主が、スクイーズアウトが実施されるものと信頼したために損害を被ったと主張し、損害賠償を求めた事案です。原審(東京地判令和6年10月31日)は、特段の事情がない限り、支配株主又は対象会社がスクイーズアウトを実施する義務を負うものではない旨判示し、株主の請求を棄却しました(※)。これに対し、控訴審である東京高裁も、非上場会社の株主は、上場会社の株主とは異なり、スクイーズアウト実施の確実性を含めた今後の見通しについて必要な情報を収集分析して適切な判断をすることが期待できたことなどと指摘し、株主の控訴を棄却しました。
東京地判令和7年1月16日(下記1(5))は、吸収分割の方法によりY1社(分割会社)が有していた賃借人の地位がY2社(承継会社)に移転した場合につき、賃貸人Xが、賃貸借契約の終了による建物明渡請求を行った事案です。東京地裁は、吸収分割による権利義務等の承継は相手方の同意を要しない包括承継であることから、賃借人の地位の移転はXの承諾の有無を問わず有効であるとした一方で、相続や吸収合併における包括承継と異なり、吸収分割の場合は承継会社が分割会社の全人格を取り込む関係にないことなどから、賃借人の地位の移転は賃借権の譲渡(民法612条1項)に該当すると判断し、当該賃貸借契約は賃貸人Xによる解除(同条2項)により終了したものと判断しています。本判決は、吸収分割の方法による賃借人の地位の移転が賃借権の譲渡(民法612条1項)に該当するかについて、下級審の判断が分かれていたところ、賃借権を譲渡した場合と同様に評価し得るほどの大幅な人的・物的要素の変更を伴う吸収分割について、賃貸人保護の観点から民法612条1項該当性を肯定したものであり、M&A取引における不動産賃貸借契約の取扱いについて、実務上参考となります。
最一判令和8年1月22日(下記2(1))は、分譲マンションの区分所有者が、マンションの共用部分である外壁部分の管理に瑕疵があり、漏水事故が発生して損害を被ったとして、管理組合に対し、民法717条1項本文に基づく損害賠償を求めた事案です。原審(東京高判令和5年9月27日)は、管理組合は共用部分の占有者に当たらないとして、区分所有者の請求を棄却しました。これに対し、最高裁は、管理組合は共用部分を支配管理してその設置又は保存の瑕疵による損害の発生を防止すべき地位にあることなどを理由に、特段の事情がない限り、管理組合は共用部分の占有者に当たると判断し、原審判決を破棄しました。そのうえで、損害額等についてさらに審理させるため、事件を原審に差し戻しました。本判決は、マンションの管理組合が共用部分の占有者に当たることを最高裁として明確に示した点に意義があり、今後のマンション管理実務において重要な意義を有するといえます。
東京高判令和7年9月11日〔アドバンスコンサル行政書士事務所事件〕(下記3(2))は、行政書士Yとの間で在留資格の変更手続に関する委任契約及び労働契約を締結し、Yの事務所で勤務していたフィリピン人女性Xが、Yに預けたパスポート等の返還を拒否されたことにつき、損害賠償等を請求した事案です。東京高裁は、XがパスポートをYに預けたのは、就職先の見つからないXを雇用し、在留資格変更手続も受任したYに対する信頼を基礎とするところ、YはXを使用従属関係に置き続ける目的でパスポートを管理していたと自認し、XのYに対する信頼を失わせたことから、パスポートを返還すべき信義則上の義務があった旨判示し、パスポート再発行費用及び慰謝料の賠償を認めました。本判決は、パスポート管理契約があったとしても、その目的によっては違法となりうることを認めた点において、外国人労働者の雇用管理の実務に参考となる判決といえます。
※ 企業法務の観点から注目される最近の主な裁判例(2025年7月・8月)
すてきナイスグループの決算期末の在庫物件売却等に係る金融商品取引法違反被告事件差戻後第一審判決
1 日本の対象会社のスクイーズアウトが実施されると信頼した少数株主である外国法人から対象会社および支配株主である香港法人に対するその不実施による損害賠償請求の準拠法が日本法であるとされた事例
2 二段階買収において、買収者または対象会社の提案ないし説明が、少数株主に対し、スクイーズアウトが確実に実施されるという少数株主の正当な信頼を惹起するものであるとはいえないとされた事例
1 株式の引受名義人以外の者を株主と認定した上で、株主総会決議により取締役から解任された旧代表取締役が権限なく会社財産を減少させる行為をしたことについて、故意による不法行為責任を肯定した事例
2 代表取締役が代表権を濫用して締結した契約について、相手方との関係で無効でないとした事例
窓口金融機関の電子記録債権に対する商事留置権の成立を否定し、また、破産手続開始決定後に当該電子記録債権に係る決済として振り込まれた振込金に係る寄託金返還債務と銀行が有する貸金債権との相殺を否定した事例
吸収分割の方法による賃借人の地位の移転が民法612条1項所定の譲渡に当たり、同条2項所定の解除により賃貸借契約が終了したとして、吸収分割承継会社に対する建物明渡請求が認容された事例
1 株券の発行前にした株券発行会社の株式の譲渡の譲渡当事者間における効力を認めた事例
2 株券発行会社の株式の譲受人が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)423条1項本文により譲渡人の株券発行会社に対する株券発行請求権を代位行使することができるとされた事例
建物の区分所有等に関する法律3条前段所定の団体は、特段の事情がない限り、区分所有建物の共用部分について、民法717条1項本文にいう「占有者」に当たる
1 預り金を信託財産に属すべきものと定めた信託契約に関し、信託の目的についての合意が成立したことの主張があるとはいえないとされた事例
2 預金債権の債権者が信託法23条5項の規定による異議に係る訴えを提起した場合、上記預金債権が信託財産に属する財産であるか否かは事実審の口頭弁論終結時を基準として判断される
国家公務員宿舎の住戸について国有財産法に基づく使用許可を受けた県が、同使用許可に基づく使用収益権を保全するため、同住戸の占有者に対する国の所有権に基づく建物明渡請求権を代位行使して、同占有者に対して同住戸の明渡しを求めることができるとした原審の結論が是認された事例
民事訴訟法248条に基づき未収売掛金等に係る損害額を認定して雇用契約上の誠実義務違反等を理由として従業員および取締役に賠償を命じた事例
マカオでされたカジノ施設での遊興を目的とする貸付けを有効とするマカオ法につき、当該貸付けが法の適用に関する通則法42条に定める公序に反しないとして、マカオ法の適用が排除されないとした事例
1 原告の所有する土地につき公道に通ずる通路はあるがその幅が狭いために土地の効用を全うできないとして、より広い幅の通路の確保のために、被告の所有する土地につき民法213条に基づく通行権を認めた事例
2 民法213条に基づく通行権の範囲を定める際の一事情として、建築基準法43条1項所定の接道要件を満たすべき必要性を考慮した事例
いわゆる特定適格消費者団体による共通義務確認請求事件において、被告と対象消費者との間のエステティックサービス契約の解除(クーリング・オフ)が認められた事例
労働者が使用者に対し一時金相当額を不法行為に基づく損害賠償として請求することはできないとされた事例
外国人労働者のパスポート預かりの違法性等
競業避止義務違反にかかる違約金の適法性
日本国内勤務拒否による合意解約の有効性
スポットワーク労働者による割増賃金請求と労働時間通算
1 使用者の労働時間把握義務につき、労働時間を労働者の自己申告で把握することは不適法であるとして、タイムカードに沿った時間外勤務時間を認めた事例
2 不当労働行為に当たる懲戒処分について不法行為の成立を認め、法人の理事長についても悪意・重過失を認めて賠償を命じた事例
3 出勤停止中の賃金請求に対し原審が請求のない損害賠償請求として認容したため判決の脱漏が生じた部分について、当事者全員が控訴審で判断することに異議がないと陳述したことをもって控訴審が判断し未払賃金の支払を命じた事例
1 令和元年法律第37号による改正前の警備業法14条、3条1号の規定のうち被保佐人であることを警備員の欠格事由として定めた部分は、平成29年3月の時点において、憲法22条1項及び14条1項に違反するに至っていた
2 国会が上記時点までに上記部分を改廃しなかった立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとされた事例
以 上
(※)令和7年9月24日の裁判所ウェブサイトのリニューアル(リンク)に伴い、同ウェブサイト内のURLが変更されたため、これまでに配信したニューズレター中、裁判所ウェブサイト登載の裁判例のリンクがすべて無効となっております。ご不便をおかけしますが、ご了承ください。