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事務所概要・アクセス
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<目次>
1. はじめに
2. 盛土規制法の概要①:スキマのない規制
(1) 規制区域
(2) 規制対象行為
(3) 規制内容
3. 盛土規制法の概要②:盛土等の安全性の確保
(1) 許可基準(法12条2項各号、30条2項各号)
(2) 許可後の手続
4. 盛土規制法の概要③:責任の所在の明確化
(1) 管理責任
(2) 監督処分
(3) 勧告
(4) 改善命令
5. 盛土規制法の概要④:実効性のある罰則
(1) 工事の適切な施工に関する罰則(法55条)
(2) 工事後の適正な管理に関する罰則(法56条)
令和5(2023)年5月26日に通称盛土規制法が施行され、現在までその運用がなされていますが、各自治体の条例も含めて必ずしも適切にその遵守がなされていない状況にあります。
本ニューズレターでは、前編・後編に分けて、令和5(2023)年施行の盛土規制法の概要および同法に関連する民事・刑事責任、同法の施行状況に見る自治体対応の留意点について解説します。
盛土規制法には、以下の⑴ないし⑷の4つのポイントがあります。
(1) スキマのない規制
(2) 盛土等の安全性の確保
(3) 責任の所在の明確化
(4) 実効性のある罰則の措置
以下では、盛土規制法のポイントについて解説します。
なお、盛土規制法違反の場合の民事・刑事責任、同法の施行状況に見る自治体対応の留意点については、本ニューズレター前編をご覧ください。
【概要】
都道府県知事が、盛土等により人家等に被害を及ぼし得る区域を規制区域として指定します。規制区域には、宅地造成等工事規制区域と特定盛土等規制区域の2つがあります(※)。
施行後5年以内(令和10(2028)年5月頃まで)に規制区域の指定完了を目指す方針です。
※ 国土交通省パンフレット参照
都道府県知事は、下記のいずれも満たす場合に、市街地や集落その周辺など、人家等が存在するエリアについて、森林や農地を含めて広く「宅地造成等工事規制区域」を指定することができます。
① 市街地等区域であること
② 宅地造成等に伴う災害が発生する蓋然性のある区域であること
③ 宅地造成等に関する工事について規制を行う必要があるもの
都道府県知事は下記のいずれも満たす場合に、市街地や集落等からは離れているものの、地形等の条件から人家等に危害を及ぼし得るエリア(斜面地等)として「特定盛土等規制区域」を指定することができます。
① 宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域
② 自然的条件および社会的条件から見て特定盛土等又は土石の堆積が行われた場合に、これに伴う災害により市街地等区域その他の区域の居住者その他の者の生命又は身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域
以下の土地の形質の変更およびその他の工事が都道府県知事等の許可の対象とされています。
・宅地造成(法2条2号)
宅地以外の土地を宅地にするために行う盛土その他の土地の形質の変更で、政令で定めるものをいいます
・特定盛土等(法2条3号)
宅地又は農地等において行う盛土その他の土地の形質の変更で、当該宅地又は農地等に隣接し、又は近接する宅地において災害を発生させるおそれが大きいものとして政令で定めるものをいいます。
・土石の堆積(法2条4号)
宅地又は農地等において行う土石の堆積で、政令で定めるものをいいます。
規制区域内で行われる盛土等に限らず、単なる土捨て行為、一時的な堆積も含まれます。
対象行為には、以下のとおり許可又は届出が必要となります。
【概要】
都道府県知事は、以下の基準に適合する場合に工事の許可をするものとされています。
・災害防止のための安全基準に適合すること
なお、地形・地質等に応じて、政令またはその委任を受けた都道府県の規則で災害防止のために必要な技術的基準を設定することができます(法13条1項、31条1項)。
・必要な資力・信用を有すること
・工事施行者が必要な能力を有すること
・土地の所有者全員の同意を得ていること
なお、あらかじめ周辺住民への説明会の開催等の事前周知が必要とされています(法11条、29条)。
許可基準に沿った安全対策が行われているかどうかを確認するため、以下の手段が設けられました。
・定期報告
工事の施行状況(土石の堆積量等も含む)について、3ヶ月ごとに都道府県知事に報告しなければなりません(法19条、38条、規則49条、50条、79条、80条)。
・中間検査
排水施設の設置工事等、工事完了後に確認することが困難となる工程について、都道府県知事の現地検査を受けなければなりません(法18条、37条、令24条、32条)。
・完了検査
盛土の形状、擁壁の強度等の安全基準への適合について都道府県知事の現地検査を受けなければなりません(法17条、36条)。
【概要】
※「土地所有者等」とは、土地の所有者、管理者もしくは占有者または工事主をいいます(法20条3項)。
※「原因行為者」とは、土地所有者等以外の者の宅地造成等に関する不完全な工事その他の行為によって災害の発生のおそれを生じさせたことが明らかである場合、その行為をした者(その行為が隣地における土地の形質の変更又は土石の堆積であるときは、その土地の所有者を含む。)をいい(法23条2項、42条2項参照)、盛土等を行った造成主や工事施工者、過去の土地所有者等もこれに該当する可能性があります。
土地所有者等が土地を常時安全な状態に維持する責務を有することが明確化されました(法22条1項、41条1項)。
災害防止のため必要なときは、土地所有者等だけでなく、原因行為者に対しても、是正措置等を命令することができるようになりました。
ア 宅地造成等工事規制区域における監督処分
イ 特定盛土等規制区域における監督処分
ア 宅地造成等工事規制区域
イ 特定盛土等規制区域
ア 宅地造成等工事規制区域
イ 特定盛土等規制区域
【概要】
ア 造成主
① 無許可盛土等 :3年以下の拘禁または1000万円以下の罰金
② 無検査盛土等 :3年以下の拘禁または1000万円以下の罰金
③ 安全基準違反 :3年以下の拘禁または1000万円以下の罰金
④ ①~③の違反事案:災害防止措置命令に違反した場合、3年以下の拘禁または1000万円以下の罰金
イ 設計者
③ 安全基準違反 :3年以下の拘禁または1000万円以下の罰金
ウ 工事施工者
③ 安全基準違反 :3年以下の拘禁または1000万円以下の罰金
④ ①~③の違反事案:工事施工停止命令に違反した場合、3年以下の拘禁または1000万円以下の罰金
エ 土地所有者等
④ ①~③の違反事案:土地の使用禁止命令・災害防止措置命令に違反した場合、3年以下の拘禁または1000万円以下の罰金
以 上