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2024.04.11

不動産特定共同事業(不特事業)に関する法律相談-令和6年4月の「不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について」の一部改正について-

<目次>
1. はじめに
2. 業務管理者について
3. 令和6年改正の内容
4. 関連記事

 本ニューズレターは、掲載時点までに入手した情報に基づいて執筆したものであり、また具体的な案件についての法的助言を行うものではないことにご留意ください。また、本ニューズレター中意見にわたる部分は、執筆担当者個人の見解を示すにとどまり、当事務所の見解ではありません。

1. はじめに

不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について」(監督留意事項)が2024年4月11日付で一部改正されました(改正後の監督留意事項については国土交通省のウェブサイト(こちらのリンク)で公表されています。また、同改正については2024年2月16日から3月16日までの期間においてパブリックコメント(※1)も実施されています。)。
今回の改正は、骨太方針2022(※2)において新しい資本主義に向けた重点投資分野として「デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資」が掲げられ、「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」として常駐・専任規制等の法令等の見直しなどを行うこととされたことを踏まえ、不動産特定共同事業者(不特事業者)が事務所ごとに置く業務管理者の要件について留意すべき事項を定めるものになります(※3)。
リモートワーク等を導入されている不特事業者を含め、実務上一定の影響のある改正になりますので、本ニューズレターにおいてご紹介したいと思います。

(※1)https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000272864
(※2)「経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」(令和4年6月7日閣議決定)
(※3)「『不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について』の一部改正(案)について(概要)

2. 業務管理者について

不動産特定共同事業法(不特法)上、不動産特定共同事業(不特事業)の許可等の基準として業務管理者を設置することが定められています(不特法第7条第4号、第17条第1項)。
業務管理者は、不動産特定共同事業契約(不特契約)の締結の勧誘、不特契約の内容についての説明、財産の管理の状況についての説明に係る業務の実施に関し必要な助言、指導その他の監督管理を行うことを目的として設置され(不特法第17条第1項各号参照)、不特事業者には、契約成立前書面や契約成立時書面、財産管理報告書の作成に際し、業務管理者をして記名させることが要求されます(不特法第24条第2項、第25条第2項、第28条第3項)。
業務管理者については、宅地建物取引業法第2条第4号に規定する宅地建物取引士であることに加え、一定の要件(※4)を満たす者であることが要求されています(不特法第17条第1項、不特法施行規則第21条第1項各号)。

(※4)不特法施行規則第21条第1項において、例えば、「不動産特定共同事業の業務に関し3年以上の実務の経験を有する者」(第1号)などの要件が示されています。

3. 令和6年改正の内容

今回の改正(2024年4月改正)は、監督留意事項の第3-2(1)及び第4-2(1)を新設し、業務管理者の設置に係る許可等の基準を満たしているかの審査に関する留意事項を示すものであり、大要、以下のような内容が留意事項として示されています(※5)。

① 業務管理者は、事務所に常勤(通常の勤務時間に勤務)する必要があること
② 「常勤」には、ITの活用等により適切な業務ができる体制を確保した上で、不特事業者の事務所以外において通常の勤務時間を勤務する場合を含むこと
③ 当該事務所において一時的に不動産特定共同事業の業務が行われていない間に、ITの活用等により、業務管理者が同一の不特事業者の他の事務所に係る不特事業の業務に従事することが可能であること
④ ③の場合でも当該他の事務所における業務管理者を兼ねることはできないこと
⑤ 業務管理者が宅建業法、建築士法、建設業法等の法令により専任を要する業務に従事しようとする場合については、他の業種の業務量等を斟酌のうえ、支障がないと認められる特別な事情があるものを除き、業務管理者とは認められないこと

業務管理者の設置に係る許可等の基準については、これまで具体的な解釈は示されていなかったことから、今般の改正は、不特事業者(特に、リモートワーク等を導入されている不特事業者)の業務管理者の設置に際し実務上参考になるものと考えられます。

(※5)監督留意事項の改正前後の新旧対照表は国土交通省のウェブサイト(こちらのリンク)において公表されています。 

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以 上

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