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セミナー
事務所概要・アクセス
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<目次>
1. はじめに
2. 不特事業に関する広告規制(概要)
(1) 申込者の判断に影響を及ぼすこととなる重要事項に関する留意事項
(2) 明瞭かつ正確な表示
(3) 誇大広告に関する留意事項
3. 相続税評価額等の広告等ガイドライン
4. 不特事業に関する広告等の議論の動向
5. 関連記事のご紹介
2025年10月3日、一般社団法人不動産特定共同事業者協議会(FTKK)が、不動産特定共同事業(不特事業)に関する「相続税法上の評価額等の広告等に関するガイドライン」(相続税評価額等の広告等ガイドライン)の制定を公表しました(※1)。当該ガイドラインの内容は、実務上、不動産特定共同事業者(不特事業者)が商品のパンフレットやクラウドファンディングの募集画面を作成する際に影響のあり得る内容になりますので、不特事業者としては、コンプライアンスの観点から留意する必要があります。
(※1)お知らせ | FTKK 一般社団法人 不動産特定共同事業者協議会
不動産特定共同事業法(不特法)上、広告については、(A)広告の開始時期に関する規制(不特法第18条第1項)、(B)不特事業者が自己が不動産特定共同事業契約の当事者となるか等の別及び契約の種別の明示に関する規制(不特法第18条第2項)、(C)不動産取引による利益の見込みその他の事項に関する誇大広告の禁止に関する規制(不特法第18条第3項)が設けられています。
また、国土交通省の「不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について」(監督留意事項)第7-3においては、不特法上の「広告」について、勧誘資料やインターネットのホームページ、郵便、信書便、ファックス、電子メール、ビラ、パンフレット等による多数の者に対する情報提供が含まれるとした上で、以下のとおり、(1)申込者の判断に影響を及ぼすこととなる重要事項に関する留意事項、(2)明瞭かつ正確な表示、(3)誇大広告に関する留意事項がそれぞれ示されています。
①申込者が支払うべき手数料、報酬、その他の対価又は費用が無料又は実際のものよりも著しく低額であるかのように誤解させるような表示をしていないか。
②出資を伴う契約にあっては、元本の返還について保証されたものではない旨を表示しているか。また、「元本保証」「元本保全」など元本の返還について保証されているかのように誤解させるような表示をしていないか。
③不特法第5条の許可申請書に記載した商号又は名称と異なるものを用いた表示をしていないか。
①取引の長所に係る表示のみを強調し、短所に係る表示が目立ちにくい表示を行っていないか。
②当該広告を画面上に表示して行う場合に、表示すべき事項の全てを判読するために必要な表示時間が確保されているか。
①不特事業に係る不動産取引により確実に利益を得られるかのように誤解させて、投資意欲を不当に刺激するような表示をしていないか。
②利回りの保証若しくは損失の全部若しくは一部の負担を行う旨の表示又はこれを行っていると誤解させるような表示をしていないか。
③申込みの期間、対象者数等が限定されていない場合に、これらが限定されていると誤解させるような表示を行っていないか。
④金融庁長官、国土交通大臣その他の公的機関が、不特事業者を推薦し、又はその広告の内容を保証し、その商品の内容を事前審査しているかのように誤解させるような表示をしていないか。
⑤不当景品類及び不当表示防止法(景表法)、屋外広告物法に基づく都道府県の条例その他の法令に違反する又は違反するおそれのある表示をしていないか。
⑥不特事業者に有利な不動産特定共同事業契約の締結又はその代理若しくは媒介の実績のみを掲げる行為をしていないか。
⑦根拠を示さずに、不特事業に係る販売の実績、内容又は方法が他の不特事業者よりも著しく優れている旨を掲げる表示をしていないか。
⑧社会的に過剰宣伝であるとの批判を浴びるような表示をしていないか。
その他、広告表示については、実務的に、景表法第36条第1項に基づく不動産の表示に関する公正競争規約及び同施行規則等にも配慮する必要があります。
今般制定された相続税評価額等の広告等ガイドラインでは、その対象となる「広告等」について、「広告及び広告類似行為をいう」と定義付けられています。このうち、「広告」については、「一般的に随時又は継続してある事項を広く(宣伝の意味を含めて)一般に知らせることをいう」とされ、「媒体・方法は問われず、勧誘資料や新聞・雑誌、テレビ・ラジオ等の放送媒体、インターネット、ポスター・看板・立て看板、屋外広告物等も『広告』に含まれる」とされています。また、厳密な意味での「広告」に該当しないものであっても、多数の者に対して同様の内容で行う情報の提供で、投資勧誘等の意図をもって行う場合には、「広告類似行為」に該当するとされています。
そして、このような「広告等」について、(1)個別の不動産の相続税法上の評価額を示す表示、(2)不動産の相続税法上の評価額と市場価格の差異に関する表示(例:①市場価格(出資額)と不動産の相続税法上の評価額を並べて示す表示、②市場価格(出資額)と不動産の相続税法上の評価額をグラフで示す表示)、(3)相続税の節税効果に関する表示(例:相続や贈与時に「資産圧縮効果」を得られる、「節税効果」があるという表示)について禁止することとされています。実務的には、不特事業者として、商品のパンフレットやクラウドファンディングの募集画面を作成する際に当該ガイドラインの内容に留意する必要があります。
不特事業に関する広告等については、国土交通省の設置した「一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての検討会」の「一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての中間整理」を踏まえ、一般社団法人不動産クラウドファンディング協会(RCA)及び一般社団法人不動産特定共同事業者協議会(FTKK)が、一般投資家への情報開示について、商品の内容に応じた適切な情報提供が行われるよう、広告等への記載事項の改善に向けた「自主規制ルールの検討会」を開催しています(※2)。
不特事業に関する広告等の記載については、当該検討会での今後の議論の状況についても注視していく必要があります。
(※2)一般社団法人 不動産特定共同事業者協議会「自主規制ルールの検討会」開催のお知らせ
一般社団法人 不動産クラウドファンディング協会『自主規制ルール等の検討会』開催のお知らせ
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以 上